<J1:山形1-1G大阪>◇第20節◇2日◇NDスタ

 エースの3戦連弾で勝ち点1を奪取した。山形が昨季アジア王者のG大阪を相手に、1-1のドローに持ち込んだ。0-1の後半26分、FW長谷川悠(22)が自身初となる3試合連続ゴールで追いついた。山形サポーターがスタンドを埋めた一戦で「お祭り男」が本領発揮。前節から順位こそ1つ落とし14位に後退したが、4戦連続負けなしで貴重な勝ち点を積み上げた。

 サポーターが、かたずをのんだ。ペナルティーエリアのやや外、ゴール正面から長谷川が蹴ったボールが相手GKにはじかれて、力なく転がる。スタジアムに大きな落胆の声が響いた。だが次の瞬間、スローモーションのように転がるボールのスピードに合わせ「ウオーッ」という歓声が上がる。ボルテージが最高潮に達したのは、ゴール左隅に同点弾が吸い込まれた時。エースの3戦連発だ。

 約1万5000人の山形サポーターの祈りが、流れを変えた。小林監督が苦笑して言う。「選手も頑張ったけど、サポーターの勢いに助けられました。(2度救われた)ポストもそう。勝ち点1を取れて良かった」。完全にゲームを支配され、22本のシュートを浴びた。山形はわずか5本だがスコアは1-1。転がり込んできた勝ち点1に、指揮官はニヤついた。

 今季8得点目で、得点ランクでトップ10入りした長谷川は「雨だから思い切り蹴った」と振り返る。山の神も応援したのか、後半から雨が降りスリッピーな状態になったのも幸いした。「人気のある相手だから、たくさんお客さんが入ったかもしれない。でも、また見に来てくれる、きっかけになってほしい。あとは勝ち切れるように頑張る」と長谷川。チームの浮上と人気をさらに高めるべく、エースがゴールネットを揺らし続ける。【山崎安昭】