この魂をジュビロに残したい。今季限りでの退団が決まっているJ1磐田の元日本代表FW中山雅史(42)が16日、磐田市内で行われた浜松大との練習試合に先発し2得点を挙げた。前半45分のみの出場だったが、残り3試合となった公式戦のメンバー入りに猛アピールした。いみじくも、チームは前日の天皇杯名古屋戦で、10人での戦いを強いられ敗れた。最後まであきらめない中山が持つ「プロの姿勢」こそ必要だったことが、サポーターから、そして中山本人から聞かれた。

 シュートはいつも緊張する。FW中山は0-2で迎えた前半12分、FW山崎亮平(20)の左クロスをゴール前でコントロール。ゴールをよく見て、冷静に蹴り込んだ。しかし、見た目とは裏腹に「あまりにもイージー(簡単)すぎて緊張したよ」とドキドキ。リーグ戦だけで157得点、練習試合も含めれば数え切れないほどゴールを決めてきたからこそ知っている。どんなゴールも決まるまで気を抜けないスリルがある。

 同14分には、こぼれ球を体ごと押し込んで追加点を挙げた。残り3試合となったリーグ戦今季初出場をあきらめるつもりはない。

 退団が決まっても、試合がある限り出場をあきらめない姿勢は、サポーターの胸にも刺さっている。

 前日、名古屋戦(愛知・瑞穂陸上競技場)に訪れたサポーターに聞いてみた。竹ノ内時彦さん(51=会社員)が「プロ意識という部分でチームが心配。試合に対する姿勢が、大丈夫なのかなと思う」と言うように、中山退団後の磐田を心配する声が多かった。

 試合はFWカレンのゴールで先制しながら前半16分にDF金沢がレッドカードで退場。以後、10人での戦いを強いられ、逆転負けを喫した。この日の練習試合後、中山が指摘した。

 中山

 10人になったときどうするべきか。ピッチにいる全員で考えられなければ強くなれない。1人いない分スペースが生まれる。でもそれは1人1人の運動量が上がってのこと。一番大事なのは気持ち。

 実際に、完全優勝を遂げた02年には退場者を出した3戦中2勝を挙げている。しかも1つは、延長Vゴール勝ちだ。あきらめないのが勝者の条件。それを知るからこそ、大学生相手の練習でもゴールを目指した。「まだまだ各個人が発展途上。でもみんな若い。可能性はある。自分も残り3試合に向けてやっていくだけ」。まだまだ、まだまだ…。退団決定後、聞かれなかった日はない。【栗田成芳】