王座奪回へ、今季の浦和はGKも攻める!

 宮崎キャンプに突入した浦和のフォルカー・フィンケ監督(61)が16日、得点力アップを目指し、GKをフィールドプレーヤー(FP)として強化する方針を示した。ゴールを守るだけではなく、積極的にポジションを上げてバックパスを受け、攻撃の起点とする考え。17日に始まる開幕前の練習試合で、状況によってはGKをFPとして起用し、足元の技術力を高めるプランもある。

 実戦形式の練習が始まると、守護神たちは普段の「職場」を離れてボールを追った。キャンプ2日目に行われたミニゲーム。都築、山岸、加藤、大谷のGK4選手は交互にゴールを守る一方で、ビブスを身にまとってDFラインでプレーした。「もっと動け」「パスを出せ」と指示を出し合いながら、味方のパスをワンタッチでさばき、時には体を張って相手のプレスからボールをキープした。

 昨季は7月下旬から8月上旬にかけて、ナビスコ杯を含む公式戦5試合連続で完封負け。得点力の低下が大失速を招き、タイトルとアジア・チャンピオンズリーグ出場権を逃した。「GKは11人目のFP」として、後方からの攻撃の起点と位置づけるフィンケ監督は「GKに求められる役割は増えた。相手がプレスをかけ、味方のFPが圧力をかけられた時に、すぐバックパスを受けられるようにならないと。足元の技術が求められる」と、この日の練習でGK陣をFPに加えた意図を説明した。

 昨季、故障者続出で練習の人数が足りない場合に限ってFP役を務めた加藤が「FPをやって当たり前という感覚になってきた。試合の流れも分かるし、体で覚えられることもある」と話せば、都築も「これまでGKは10人プラス1という感じだったけれど、フィールドのいろんな要素が(プレーに)出てくると思う」と「FP兼任メニュー」を歓迎した。

 カシジャス、ブフォンら世界トップのGKは足元の技術にも定評がある。GKがペナルティーエリア付近まで上がって味方のパスをさばけば、攻撃の速度、選択の幅も広がる。フィンケ監督は「ドイツでも準備期間の練習試合で、GKをFPとして起用したことがある」と発言。17日の日章学園戦をはじめ、3月の開幕前までのテストマッチで、GKをFP起用して強化するプランも温めているようだ。【山下健二郎】