<ナビスコ杯:東京2-2名古屋>◇31日◇1次リーグA組◇国立

 A組東京のFW平山相太(24)が、代表落選の悔しさを4試合ぶりのゴールにぶつけた。名古屋戦の後半23分、MF石川直宏(28)のクロスに走り込み、右足を合わせて同点ゴール。7日の国際親善試合セルビア戦(大阪・長居)の日本代表からは外れたが、最後のW杯メンバー入りへ得点力をアピールした。東京はその後再びリードを許したが、18歳FW重松健太郎が後半ロスタイムにゴールを決めて2-2で引き分けた。

 右サイドの石川にパスが通った瞬間、平山はゴールを目指した。折り返されたボールに右足インサイドを合わせた。開幕の横浜戦以来、公式戦4戦ぶりのゴール。代表落選の悔しさを晴らす一発に「どうだ」と言わんばかりにガッツポーズをした。「重松がニアに走ってくれて、スペースができた」と振り返った。

 28日の大宮戦、日本代表の岡田監督が視察した試合でシュート7本も不発、チームは2-0で勝ったが、自分の良さは出せなかった。そして29日の代表発表。福岡大FW永井が抜てきされ、新潟FW矢野が復帰する中で、代表デビューした1月のイエメン戦から常にあった自分の名はなかった。

 「選ばれても選ばれなくても、自分の実力は変わらない。悔しさなんてないです」と強がったが、ショックがないわけはない。「明らかに落ち込んでいた。元気もなかった」とチーム関係者は証言する。大宮戦を振り返り「焦りはあった。イライラもあった」と話したが、それは代表落選に対する思いでもあった。

 気持ちを切り替えて名古屋戦に臨んだ。「落ち着いてやることを考えた」という。中盤にケガ人が続出して、チームは万全ではない。それでも持ち前の高さと懐の深さでチャンスをつくり、シュートを放った。自分の武器を最大限に生かして、代表不動のセンターバック闘莉王に挑んだ。

 セルビア戦はW杯メンバーへの最終テストだが、落選選手のチャンスが消えたわけではない。城福監督は「(落選で)期するものがあるはずだし、あるべき。その気持ちが、向上するための唯一で絶対的な手段」と期待した。「W杯とは関係なく、真を通したプレーを続けたい」。それこそがW杯への道であることを、平山は分かっている。【荻島弘一】