ロシア・プレミアリーグのトム・トムスクが、鹿島DF伊野波雅彦(24)の獲得に動いていることが26日、明らかになった。この日までに来年1月からの完全移籍での獲得を目指す旨の打診があった。鹿島はリーグ戦終了後に交渉に応じる構え。条件が整い交渉次第では、CSKAモスクワMF本田、アムカルFW巻に続く3人目の「ロシア・リーガー」が誕生する可能性が出てきた。

 鹿島との来季終了時までの契約が残る伊野波を完全移籍で獲得するためには、違約金(移籍金)が発生する。まだ、トム・トムスク側から違約金などの金額提示はなされていないが、諸条件が提示されている正式なオファーが届き、違約金が満額払われれば、鹿島と伊野波の契約上移籍を認めざるをえない状況となる。

 伊野波は鹿島ではセンターバックのレギュラーだが、プロ入り直後はボランチを務めていたこともあり、強靱(きょうじん)なフィジカルに足もとの技術も高い。トム・トムスクは現在リーグ戦10位と中位に位置しており、チーム力アップのため、伊野波を複数年契約で獲得し、ボランチで起用する方針を示しているという。ロシア・リーグはJリーグと同様に3月開幕だけに、1月移籍でもチームに順応する時間はある。

 08年に東京から鹿島に完全移籍した伊野波は08、09年のリーグ制覇に貢献。今季は韓国代表DFイ・ジョンス加入により先発を外れていたが、7月にイがカタールに移籍した後に定位置に復帰していた。当初から海外挑戦の意欲が強かったものの、現在リーグ4連覇がかかるリーグ戦の最中だけに「今は目の前の試合に集中したい。落ち着いたらしっかり考えたい」と慎重に話した。オシム監督指揮下の日本代表にも招集された経験のある若きセンターバックの今後の動向が注目される。