<J1:仙台2-0山形>◇第23節◇19日◇宮城ス
J1みちのくダービー第2ラウンド(R)は、ベガルタに軍配が上がった。カード3連敗中の仙台がリベンジ。W杯南アフリカ大会の北朝鮮代表に同行したMF梁勇基(28)が、前半に直接FK、後半に追加点を決めた。手倉森誠監督(42)は敵将の小林伸二監督(50)に恩返しの勝利を挙げ、仙台は対戦成績を13勝13分け7敗とし、13位に浮上した。
ボールをセットした時、梁には結果が見えていた。前半28分、自ら得た直接FKはゴール右、30メートル。右足では難しい位置から狙ったのはニアサイド。鋭く、低くカーブをかけた球は青い壁の脇を射抜き、ゴールに突き刺さった。「練習から感触が良かったし、イメージ通りだった」。ピッチ状態が悪くても「セットプレーなら、いい場所を探して置けるから」と動じなかった。
「燃えてますよ~」。試合前、普段は冷静な男の言葉に熱がこもった。7月の第1Rは1-3の完敗。W杯後、最初の試合だった。「出場できなかった悔しさを晴らせたらと思って試合に出たけど、最後は足がつって動けなくなった。友人から『がっかりした』『山形には勝ってくれよ』って言われて。きつかった」。
W杯には同行したが、最終メンバーから漏れた。出場できないと分かって向かう練習は、つらかった。ホテルでふさぎ込んだ日もある。仙台で送り出してくれた人たちを考えると「帰りにくいな…」と思った。
だが、国を代表する誇りが磨かれた。帰国後、同僚だった前川崎FのFW鄭大世が、ドイツ2部のボーフムへ移籍した。「Jリーグの中の在日(朝鮮人)の存在感が薄くなる。寂しがる在日の皆さんが増えると思うし、自分が大世の分も盛り上げるから」。エールと意気込みを伝えて、自らを奮い立たせて戦っていた。
後半31分には左サイドでMF富田からパスを受け、マークをワンステップで右にかわす。即、右足を振り抜くと、その速さに山形DF陣もGKも反応できない。ゴール奥に、試合を決める追加点を流し込んだ。4年後のブラジルW杯も目指すベガルタの背番号10は言った。「(第1Rは)がっかりさせてしまったから。今日はサポーターの皆さんに、喜んで帰ってもらえると思う」。大一番の緊張が解けた表情に笑みがこぼれた。【木下淳】



