<天皇杯:G大阪4-1柏>◇4回戦◇17日◇万博

 前人未到の天皇杯3連覇を狙うG大阪が、苦しみながらも8強に進んだ。来季J1昇格を決めている柏に90分で決着が付かず1-1のまま延長戦へ。延長前半3分にMF遠藤保仁(30)が、得意のPKを決めて逆転。数的有利になった同後半にもFW宇佐美、ルーカスが加点し、4-1で粘勝した。12月25日の準々決勝は浦和と対戦する。

 3連覇への道のりは容易ではなかった。決着をつけたのは遠藤だ。延長前半3分に宇佐美がPKを得た。名手はいつものように淡々とボールを置くと、GKとにらめっこしながらゴール左スミにライナーで得点を決めた。真冬のように気温が下がり、わずか3327人の観客からようやく小さな歓声がわいた。職人の「技」が号砲となり、数的有利になったことも重なって最終的に計4発。執念の勝利だった。

 遠藤

 焦りはなかった。90分で終わらせないといけないとは思いましたけれど、焦って前に出てカウンターを浴びてもね。PKも(GKの)足を見ながらいつも通り蹴りました。

 攻め手を欠いた。先制を許し、敗戦の雰囲気漂う後半36分に遠藤が起点となり、途中出場の佐々木が起死回生の同点弾。90分だけを見れば、ビッグチャンスはその1度だけ。先発は中盤4人のうち明神、遠藤、武井の3人が守備的MF。前線にボールが渡っても中盤からの押し上げがなくFW陣が孤立。攻撃的より、守備的な印象が際立った。

 120分を戦い終えた西野監督は、腰を伸ばしながら「厳しいゲーム。天皇杯らしいな」とため息。相手は既にJ1昇格を決めた柏だった。格下に速攻からピンチを招く場面も目立った。

 今季はACL、ナビスコ杯で早々と敗退。3位につけるリーグ戦も首位名古屋とは勝ち点10差をつけられ、5季ぶりの優勝は絶望的だ。現実的に残されたタイトルは史上初の3連覇をかけた天皇杯だけ。MF明神は「ガンバはタイトルを取らないといけないチーム」と言い切る。王者にとって、いばらの道が続く。【益子浩一】