<J1:G大阪2-0浦和>◇第31節◇20日◇埼玉

 4季ぶりの王座奪回を逃した浦和が、今季最大の目標だったリーグ3位以上での来季アジアチャンピオンズリーグ(ACL)出場権も逸した。本拠地にG大阪を迎えたが、相手のカウンターサッカーの術中にはまり、0-2で敗戦。07年8月の対戦を最後に公式戦の対戦成績が8戦勝ちなしと苦手な相手に再び屈した。今季限りで退団する意志を固めたフォルカー・フィンケ監督(62)にとって、就任2年目も厳しい結果に終わった。

 フィンケ監督は本拠地の空を見上げ、大きく吸った息を吐き出した。かすかな望みを残していた、リーグ3位以上での来季ACL出場獲得の可能性が、ライバルのG大阪に負けて消滅。「前半については褒めたたえるべきものだった。圧倒していた。でも、私たちの時間帯で結果を残せなかった」。就任から2年間、敗戦の度に繰り返してきた言葉は、集大成の時期を迎えても変わらなかった。

 来季のチーム編成方針でクラブ側とビジョンを共有できず、今季限りでの退団を決意して臨んだ一戦だった。選手にはまだ直接意向を伝えていないが、MF鈴木主将が「相手がどこだろうと、今までやってきたことを変えてはいけない」とチームの思いを代弁するように、序盤からフィンケ体制下で培ったパスサッカーで「本家」に挑んだ。

 前半15分にDF岡本が、後方から駆け上がってミドルシュート。同31分にはMF高橋が、FWエジミウソンとのワンツーパスからクロスバー直撃の一撃を放つなど、チャンスをつくったが、ゴールが遠かった。ケガのため試合前日の練習を回避して強行先発したMF柏木は「いつものガンバと違ってプレスもなかったし、自分たちがパスを回させられている感じがした」。3日前の天皇杯4回戦で延長を含めた120分間を戦い、この日はアウェー戦と過酷な日程を考慮した相手の「省エネ」戦術にはまってしまった。

 試合後の会見で今後の去就を問われたフィンケ監督は「クラブ内部のことを公の場で言うつもりはない」とし、柱谷GMも「今月末をめどにお互い決めようと。内容については話せない」と明言を避けた。クラブ側は複数の後任候補を調査中。来季体制づくりを進めながら、ACL出場権獲得へ残された最後の道、天皇杯制覇を狙う。