札幌のMF藤田征也(23)が新潟から獲得の正式オファーを受けたことが15日、分かった。今季、札幌から新潟に期限付き移籍し、右サイドバックとして活躍した西大伍(23)の鹿島移籍が濃厚。代役として今度は同ポジションとサイドハーフもこなせる藤田に白羽の矢を立てた。DF石川直樹(25)も新潟への完全移籍が濃厚で、主力選手が相次ぎ流出する可能性が出てきた。

 西に続き藤田と、生え抜き選手が2年連続でチームを離れる可能性が出てきた。新潟では右サイドバック西が鹿島に移籍する方向。その後継として世代別代表歴もある藤田をリストアップし、完全移籍での獲得オファーを出した。

 札幌側も来季契約の提示はしているが、条件面でJ1に太刀打ちするのは厳しい状況。藤田は今日16日には新潟で施設見学を行い、クラブ関係者と会うことになっている。札幌は慰留に努めるが、関係者も「(藤田を)残せるかどうか分からない」と話している。ユース昇格組ではクラブ最多165試合出場を誇る背番号7の移籍が現実味を帯びてきた。

 新潟はすでにセンターバックの石川獲得にも動いており完全移籍が濃厚。札幌は同ポジションのブラジル人DFアマラウ・ロサ(28)と交渉中だが、軸としていた石川の移籍でDFライン構築に再び難題をつきつけられた。今季31試合先発出場の石川に続き30試合先発の藤田流出となれば、札幌としては柱の2人を1度に失うことになる。3年目の雪辱を期す石崎監督に早くも頭痛の種が浮上した。

 昨オフはダニルソン、西が流出した。石崎監督も「主力が抜けるのは大きい」ともらし、ショックを受けていた。体制2年目の上積みを図るはずが、土台からのチームづくりを課された。早い時期に柱が固定できなかったことも低迷の一因だった。今度は石川、藤田移籍の危機。今後の補強次第だが、3年目も厳しい船出となりそうだ。

 藤田は地元札幌出身。チームの顔として人気、知名度ともに高く、故郷でJ1昇格に貢献したいという思いは強い。だが、選手としてはJ1という高いレベルでプレーをすることは、ステップアップにもつながる。将来的にA代表入りを目指せる素材だけに、複雑な立場に立たされている。