同時開催で東北復興への第1歩にする。仙台が29日のホーム開幕戦となる浦和戦を、本拠地ユアテックスタジアム仙台(ユアスタ)で開催することが3月31日、分かった。同11日の東日本大震災の影響でスタジアムが損傷を受け、ホームとアウェーを入れ替えて浦和で開催する案も検討されていたが、ユアスタを管理する仙台市とチームが協議を繰り返し、最終的な安全確認が取れた。すでにプロ野球楽天の同日の本拠地開催が決まっており、地元プロスポーツが足並みをそろえて、被災地復興へ踏み出す。
仙台が被災地復興のシンボルとなるべく、29日のホーム開幕戦開催を決断した。当初は利府町の宮城スタジアムでの開催予定だったが、同施設周辺は遺体安置所や支援復興基地のため断念。対戦相手の浦和とホームとアウェーを入れ替えて開催する案も検討されていた。だが楽天との同日本拠開催を実現させて被災地に力を吹き込むために、何としても本拠地開催を諦めきれなかった。仙台市のユアスタを管理する仙台市建設局とチーム側がほぼ毎日、協議。地震による損傷は見受けられるが、残り1カ月で観客の安全確保ができる復旧のめどが立った。
最も損傷が目立つのが北エントランス。舗装が激しく損傷し、観客が転倒する恐れがある。同市担当者は「1カ月で100%復旧させるのは難しい。部分復旧になると思う。損傷部分を避けて誘導経路を確保しながら、出入り口を一部制限すると思う」。スタジアム内の上部に取り付けられている照明やスピーカーも落下の危険性があるが「防止のチェーンもある。落ちそうなのは外して安全を確保する」と対策を講じている。
ユアスタへの主要交通機関である仙台市地下鉄は台原~富沢で折り返し運転中。スタジアム最寄り駅の泉中央まで完全復旧するのは5月末の見通しで、ホーム開幕戦には間に合わない。市担当者は「台原駅から4駅分はベガルタさんがシャトルバスなどを出すことになると思う」。さらに同市の大部分で現在、ガスが復旧せず通常の住民生活は取り戻せていない。
相手の浦和側も仙台入りは困難。東北新幹線が今月下旬に復旧予定だが、開通しない場合は羽田-山形の空路、福島経由の山形新幹線を利用し仙台入りするか、約5時間かけての東北道のバス移動となる。過酷な移動となるが仙台復興のために浦和側も承諾した。
白幡洋一社長(67)も「復興に向けて、楽天もやるんだからベガルタもやらなきゃ」と話していた。仙台の若林区では住宅地が津波で流され、数百という遺体が見つかった。周辺の沿岸部もいまだ壊滅状態。28日には選手、スタッフ48人で宮城・石巻市で支援活動を行った。サッカーを通じて被災した子どもたちと触れ合ったFW柳沢敦主将(33)は別れ際「言葉にならない…」と声を詰まらせた。被災地に、楽天との同日ホーム開幕戦で、少しでも明るいニュースを届けたい。



