<J1:清水0-0磐田>◇第13節◇28日◇アウスタ

 今季初の「静岡ダービー」は、痛み分けのスコアレスドローに終わった。両者無得点は39戦目となるダービー史上2試合目。最後まで緊迫した好ゲームを演じたが、歓喜の瞬間は、どちらにも訪れなかった。アウェーの磐田MF那須大亮(29)は「厳しい試合を守りきれたのは収穫だった」と、無失点に胸を張った。

 「元エース封じ」で、勝ち点1を呼び込んだ。前半序盤からDF藤田義明(28)とDF加賀健一(27)のセンターバックが、清水FW高原を徹底マークした。空中戦で加賀が体ごとぶつかれば、藤田も的確なカバリングでこぼれ球をフォロー。前節2得点を挙げて調子を上げてきたストライカーに全く仕事をさせなかった。藤田は「我慢する時間が多かったけれど、集中力を切らさずに最後までプレーできた」と満足げだった。

 磐田黄金時代のエースで、最も磐田を知る男を、逆に徹底研究した。前線の高原にボールが入ると、まずは加賀が体を寄せて時間を遅らせた。その間にボランチの那須や小林が挟み込みボールを奪取。清水の「起点」をつぶすことで、相手が得意とするサイド攻撃を封じた。試合のビデオを何度も見るなど、緻密な戦力分析もあり、シュートも打たせなかった。「とにかく球際では負けないことだけを考えた。今日の勝ち点1は非常に大きい」と加賀。後半16分には警告を受けたが、90分間気持ちを前面に出し、守りきった。

 一方で、攻撃陣は精彩を欠いた。この日はシュートをわずか2本しか打てず、今季好調を支えている攻撃力は鳴りをひそめた。柳下監督は「何でもないところで簡単なミスをしていた。ボールが落ち着くところが1回もなかった」。シュートを1本も打てなかったエース前田は「スペースを見つけてもっとボールを引き出せばよかった」と反省点をあげた。

 02年以降、勝利がないアウスタでまたしても勝てなかったが、価値あるドローで暫定4位に浮上。今後は福岡とのナビスコ杯1回戦を挟み、名古屋、柏、鹿島と、強豪クラブとの連戦が待ち受ける。真価が問われる6月になる。【神谷亮磨】