<J1:横浜2-1磐田>◇第3節◇9日◇ヤマハ
ケガから5戦ぶりに復帰した横浜MF中村俊輔(33)が、決勝PKを決めた。1-1で迎えた後半6分に、かつての同僚のGK川口との「一騎打ち」を制して、敵地で磐田に2-1で競り勝ち、4連勝。首位の柏を勝ち点差1で追走した。今季は小学生以来の主将を務めるファンタジスタが、04年以来の優勝へ向けて、あえて泥くさいプレーで選手を鼓舞した。
キャプテンマークが巻かれている左腕付近を、中村が右手で誇らしげにたたいた。後半6分、横浜、日本代表で先輩だったGK川口との勝負に勝ち、決勝点となるPKを決めた。
互いによく知る相手。相対したときに中村は相手の目を見続けた。「あんまりそういうことはしないんだけど」。視線を合わせない川口をあえて直視。そして蹴る寸前に目が合うと、今度は自分から視線を外した。「それで自分のタイミングで蹴れた」。相手を動揺させるような心理戦に勝ち、ボールは右サイドネットに突き刺さった。6月15日のC大阪で左太腿(だいたい)を負傷。5試合ぶりの復帰戦で、きっちりと仕事を果たした。
今季は「小学生以来」の主将を務めている。昨年のW杯南アフリカ大会後に日本代表を退いた今、「挑戦」と自らを位置付け、新たな役割を担う。1月に就任してから半年。木村監督は「昨年とはまったく違う。チームのことを考えた発言をしている。ロッカー室でも他の選手に声を掛ける回数は全然増えたもの」と証言する。
プレーも変わった。この日も前半途中からボランチの位置に入ると、あえて意識したことがあった。「スライディングしたり、そういうところで汗をかくこと。自分みたいなタイプの選手がやれば、みんなにも影響あるでしょ」。左足の華麗なプレーが持ち味の男が、汗まみれ、土まみれになり、必死にボールを追った。その姿に、周りの選手も奮起した。
苦手のヤマハスタジアムで7戦ぶりの勝利は、07年以来のリーグ4連勝になった。柏がロスタイムに決勝点を挙げたため、06年以来5年ぶりの首位はお預けになったが、ピタリと追走する貴重な勝ち点3。「自分はバテてない」と言いながら後半29分に退いた中村。夏の連戦に向けて余力を残し、チームのために尽力を続ける。【阿部健吾】



