J2札幌MF荒野拓馬(18)の来季プロ契約が内定したことが26日、分かった。2種登録選手ながら今季からトップ帯同。現在U-18代表タイ遠征に帯同するなど、世代別代表でも活躍するボランチが新人1号となった。条件面を詰め来月、正式発表される。24日の前節徳島戦でデビューしたU-18MF前貴之(18)もトップ昇格が濃厚。プレミアリーグイースト首位を走るユースからの昇格は、過去最多4~5選手になることも分かった。

 札幌が生え抜きホープ大量“補強”で昇格を見据えた基盤づくりを開始する。その中心となるのが荒野だ。今季はU-18所属ながら09年の古田同様、通信制に転入しトップ帯同。今季の出場は1試合ながら、クラブでは技術、成長度、人間性ともに評価している。既に強化部門でも来季戦力として計算。荒野の家族とも正式にプロ選手として契約する方向で話がまとまった。

 矢萩竹美社長(61)もトップ昇格について「選手としての能力もそうだが人間性もプロとして問題ない」と太鼓判を押す。パス、ドリブルに加え強烈なミドルシュートが持ち味。8月31日の練習では、シュートを止めたGK李が手首を痛め3日の水戸戦を欠場してしまうほどの球威を持つ。途中出場した17日の北九州戦ではプレーに納得いかず、3-0圧勝の中1人、涙を流して悔しがるなど、勝ち気な精神面もプロ向きだ。

 荒野だけじゃない。24日の前節徳島戦でJデビューした前もトップ昇格が濃厚だ。石崎監督も「いいキックを持っている。しかも両足で蹴れるのは貴重」と認めており、クラブから前サイドにプロ契約の意向が伝えられた。本人もプロ志望が強く、両親と話し合い、来月にも正式決定する。荒野と前。年少デビュー1、2位のピチピチコンビが来季新人1、2号となる。

 プレミアリーグイースト首位に立つ札幌U-18には、タレントはまだまだいる。今季5月に2度ベンチ入りしたU-18日本代表DF奈良竜樹(18)もトップ昇格を打診されている。奈良は進学も考えており今後、クラブや両親と詰めていく。同代表FW榊翔太(18)の昇格も有望。過去3人以上の昇格はなかったが、来季は世代別代表歴のあるDF小山内貴哉(18)を含む、4~5人の最多昇格が決定的だ。

 ユースからの昇格は獲得時の育成費用などが発生せず、身の丈補強を目指す札幌には最善の策。大豊作の道産子新人を巧みに融合し、長期的強化につなげる。