<J2:横浜FC1-2札幌>◇第30節◇2日◇国立

 上原劇弾で2位死守だ!

 J2札幌は横浜FCに勝った。1-1の後半43分に、途中出場のFW上原慎也(25)がCKを頭でねじ込み決勝ゴール。過去3戦全敗だった鬼門・国立競技場で初白星を挙げた。前回0-2と完敗した相手にリベンジし、初戦で引き分け以下だった相手には6連勝となった。チームはここ6戦無敗で勝ち点53に伸ばし、昇格圏2位をがっちりキープした。

 奇跡的な決勝弾だった。1-1で迎えた後半43分、MF砂川の右CKの直前。ベンチ脇でDF岡山が叫んだ。「(上原)慎也!

 決めて来いや!」。弾道に合わせてジャンプした上原は、空中で数秒静止したように見えた。相手DF森本を胸の下に置き去りに。超人的なヘディングシュートは、一直線にゴールに突き刺さった。

 石崎監督伝授の究極ヘッドがさく裂した。「練習で石さんから『慎也は相手より早く飛べ。そうすれば大抵勝てるから』と言われていた。その通り先に飛んだ。負ける気が全然しなかった」。横浜FC戦は6月12日の前回対戦で0-2と完敗し、サポーターから水をかけられる屈辱を味わった。プライドをかけた意地の1発。石崎監督も「あの時、水をかけられた悔しさを晴らそうという選手がプレーで示してくれた」と喜んだ。

 鉄人44歳の中山もスタンドから闘魂を注入した。現在は両膝関節炎のため、別メニュー調整中。この日はベンチメンバーから外れていた。だが、患部を検査するため都内に移動しており、試合前には控室で選手を鼓舞した。「いい勝ち方ではなかったけど、この勝利は大きいよ」。ピッチもベンチもスタンドも全員が一丸となった1勝だった。

 上原夫妻には“プチプレゼント”になった。9月22日に恵夫人、同30日に上原が25歳の誕生日を迎えた。30日はチームスポンサー石屋製菓のケーキを購入し、夫婦そろってバースデーパーティーを開いた。7月31日岐阜戦以来10試合ぶりとなる得点は、またも土壇場での決勝ヘッド。既にプレゼント交換はしていたが「妻にもう1つプレゼントができました」と目を細めた。

 これで先制した試合は13戦全勝。後半40分以降の得点は計11点と、実力だけでなく、昇格に必要な強運も呼び込んできた。「1人1人が自分の役割を果たすこと。先の昇格より次の1試合が大事」と上原。勝っても油断なし。今の札幌にスキは見当たらない。【永野高輔】