<J1:磐田2-1甲府>◇第32節◇19日◇ヤマハ

 降格圏16位の甲府の日本代表FWハーフナー・マイク(24)が、今季残り2試合出場停止の大ピンチをルールに救われた。磐田戦の前半37分に今季8枚目の警告を受けた。この時点で規定は2試合出場停止。ところが後半ロスタイムに2枚目の警告でレッドカードを受けたことで、ルールにより1試合出場停止にとどまった。試合は1-2で敗れ、残留圏15位の浦和が仙台と0-0で引き分けたため、勝ち点3差に広がったが、最終節まで望みを捨てずに戦う。

 誰もが声を上げた。前半37分、ハーフナーが磐田DF駒野を倒した瞬間、主審はイエローカードを掲げた。累積8枚目で2試合出場停止。エースの今シーズンが終わった。ハーフナー自身も、甲府ベンチも、サポーターも、みんながそう思っていた。

 ハーフナーはハーフタイムで引き揚げる際、悔しさをあらわにした。控室でも判定への不満をぶちまけたが、後半は気持ちを入れ直した。1点を追う後半34分に、浮き球のパスに抜け出して相手GKと1対1。しかし、シュートはGKにはね返された。ロスタイムの後半48分、ボールを奪いにスライディングしたところを、ラフプレーと判定されこの試合2枚目の警告で退場処分に。チームも敗れた。

 エース不在で残り2試合。残留への希望が消えかけた。ところが…。ルールブックに救いの神がいた。累積警告8枚のまま試合終了なら2試合出場停止。しかし、ハーフナーは2枚の警告で退場となったため、この2枚は累積に加算されず、1試合出場停止で、累積警告は7枚のまま。最終節の大宮戦には出場できることになった。Jリーグのマッチコミッショナーも「恐らく問題ない」と話した。

 ハーフナーは試合後、「判定の基準が分からない。ラストゲームだと思って戦った。残り試合はみんなに頑張ってもらいたい」といら立ち気味に話したが、ルールを聞かされると「そうなの」。信じられないという顔で、表情が少し緩んだ。

 朗報はもうひとつあった。勝ち点2差で追う浦和が引き分けたため、勝ち点差は3にとどまった。残り2試合。厳しい状況に変わりはないが、逆転の可能性は残った。次節新潟戦に出場できないハーフナーは「やれることをやって応援に徹する」とチームへのサポートを宣言。そして、最終節の大逆転残留へ、集中力を高める。【加納慎也】