G大阪の西野朗監督(56)が今季限りで退任することが22日、正式に決まった。今日23日に発表される。海外出張から緊急帰国した金森喜久男社長と同監督がこの日夜、大阪府内のホテルで極秘会談を行った。チームは現在リーグ3位で、優勝の可能性を残している中での退任は極めて異例。02年の就任からJリーグの同一クラブを率いた監督として過去最長の10年。名将がG大阪をJ屈指の強豪クラブに育て、静かに去ることになった。

 極秘交渉を終えてホテルから出てきた西野監督は去り際に、寂しそうな作り笑いを浮かべた。アジアサッカー連盟の表彰式を欠席し、マレーシアから緊急帰国した金森社長と午後6時50分から緊急会談。38分間の話し合いで、両者が出した結論は今季限りでの退任。

 「(退団が)決まりました。もう、正式に…。決まりましたから。社長には早く、発表してくれということになっているので」

 今日23日に退任が正式発表される。26日には本拠地最終戦となる仙台戦を控える。退任決定が早まった理由に長い間、お世話になったサポーターにお別れを言いたいという西野監督の願望があった。

 「最終戦にはいろんな思いがある。ボクだけのことでもないですから」

 来季も指揮を執る熱意はあった。だが結果的に続投か、退団かの話し合いを先延ばしにしたクラブ側との行き違いによる溝は埋まらなかった。

 ◆西野朗(にしの・あきら)1955年(昭30)4月7日、埼玉・浦和(現さいたま)市生まれ。浦和西高、早大を経て日立(現柏)入り。大学時代から主にMFで日本代表入り。96年アトランタ五輪日本代表監督を務め「マイアミの奇跡」と呼ばれるブラジル撃破を実現。98年から柏監督就任。02年からG大阪監督に就任して05年Jリーグ、07年ナビスコ杯、08年ACL、08、09年度天皇杯でそれぞれ優勝。