<プレシーズンマッチ:清水0-0新潟>◇26日◇アウスタ

 清水が、新潟と引き分けた。攻撃陣が前線からの速いプレスで前半から決定機を演出すると、ここ4戦1失点と安定感を増したDF陣も、最後まで集中を切らさずに無失点に抑えた。しかし、10本のシュートを放ちながらも無得点。3月10日の開幕に向けて確かな手応えと、はっきりとした課題をつかんだ一戦となった。

 ホームアウスタの今季初戦に駆けつけた4398人のサポーターが、歓喜に酔いしれることはなかった。それでも開幕に向けて、はっきりとした道筋が見えた。前半8分、MF小林大悟(29)が高い位置でボールを奪い好機を演出。同30分にも同様に小林が奪うと、すばやくFW高原直泰(32)へとつなぎ、シュートに持ち込んだ。高原は「後ろもコンパクトにしてくれていて奪いやすい。直接チャンスにつながるし、回数も増えてきている」。ゴールこそ奪えなかったが、昨年アフシン・ゴトビ監督(48)が就任以来、一貫して行ってきた前線からのプレスが形になり始める。

 チャンスを作りながらもなかなか得点が奪えない-。シーズン全34試合を通せば十分に想定できる状況下で、DF陣も粘りを見せる。前半はGK林彰洋(24)、平岡康裕(25)岩下敬輔(25)の両CBを中心にカウンターにも対応。安定した守備でほとんど決定機を作らせない。GK山本海人(26)ら3人が交代出場した後半もピンチを迎えながら、最後まで体を投げ出して無失点に抑えた。ここ5戦で1失点。岩下は「いろんなメンバーでJ1を相手にある程度できたと思う」と、手応えを口にした。

 あとは得点だ。放った10本のシュートは空砲に終わった。ゴトビ監督は「2度の決定機を外し、試合は天気同様に寒くなってしまった」。高原は「やっていることは間違っていない。あとは最後のフィニッシュの質」と、明確な課題を口にした。開幕するアウェー名古屋戦まで残り13日。やるべきことは、はっきりした。【前田和哉】