<J1:仙台1-0鹿島>◇第1節◇10日◇ユアスタ

 J開幕戦が被災地クラブ同士の対決となった仙台との特別な試合に敗れた悔しさが、言葉からにじみ出ていた。90分を戦い終えた鹿島のMF小笠原満男(32)は「残念ですね。勝ちたかったんですけど…。やはり、勝っている姿を(被災地のみなさんに)見せたいという気持ちに変わりはないので…」とうつむきながら話した。

 「試合だけじゃなくて何事にも勝ちたい」。そんな気持ちを持って臨んだ一戦は、序盤から「ジョルジーニョ鹿島」の攻撃の軸として奮闘した。献身的な動きに加えてFKのキッカーとして好機を演出。前半39分の右足ボレーシュートなど積極的にゴールも狙った。

 東日本大震災から1年。特別な開幕戦に臨む気迫はチームにも伝わっていた。前半は激しいプレスでペースを握り、後半に運動量が落ちて先制されても粘りを披露。同24分にFWジュニーニョのヘッドが相手GKの好守に阻まれたが、最後まで勝利を目指した。

 勝利には届かなかった。ただ、新監督を迎えた鹿島は「復興の旗手」として止まってはいられない。「おれらは負けたけど下を向けない。被災をして、前を向いて頑張ろうとしている人たちがいる。おれらだけが下を向いてはいられない」。小笠原は勝利と復興のため、今季も名門鹿島の先頭に立って走り続ける。【菅家大輔】