<J1:仙台4-1大宮>◇第3節◇24日◇ユアスタ

 仙台がFW柳沢敦(34)の“決勝弾”で10年ぶり2度目の開幕3連勝を飾り、単独首位を守った。同点の後半15分にクロスに合わせ、オウンゴールを誘発。試合後の会見でも手倉森誠監督(44)が柳沢の得点と勘違いするほど惜しい一撃で、逆転勝ちに導いた。昨年は2度左膝を手術するなど苦しんだが、今季は開幕からチームとともに好調を維持。プレーで、姿勢で、主将が負けないチームをけん引する。

 柳沢が2点目のシーンをいつもより冗舌に振り返ったのは、少しばつが悪かったからか。「ヨシ(太田)がいいところに上げてくれて、しっかりゴールにたたき込みたいところだったけど、決めきれなかった。でもラッキーだった。自分の中ではちゃんとしたゴールを奪えていないという気持ちですけど」。後半15分にMF太田のクロスを右足でミート。GKのはじいたボールが大宮DF菊地に当たり、ゴールに入った。

 公式記録はオウンゴールで柳沢の本拠地初得点はお預けとなった。それでも手倉森監督は会見で「前半はボールが収まらなかった。でも彼のゴールを取りそうな気配で、後半10分チャンスを与えようと。短い時間の中で仕事をして、ホームで点を取ってチームに落ち着きを取り戻してくれた」と、お構いなしに絶賛した。

 移籍1年目の昨季、柳沢は2度左膝を手術。11月の2度目は特に悩んだ。それまでわずか1得点しか挙げていなかった。契約のことが頭にちらつき、踏ん切りがつかずにいた。背中を押したのが手倉森監督だった。「サッカー人生を大きく考えればしっかり治した方がいい。チームのために、地域のために一生懸命やってる選手の不安を取り除くのが、フロントの役目」とかけ合ってくれた。翌シーズンへの不安なく治療に専念できたことで、今季は開幕からチームに貢献できるだけのコンディションに仕上げてきた。

 これが今季初先発。常に出番があるわけではないが、その背中がチームを支えている。この日、故障者に代わって先発したDF渡辺は言う。「ヤナさん(柳沢)は試合に出ることが少なくても、100%の姿勢で練習に取り組む。そういうのを見てると、やらないわけにいかない」。妥協を許さないストイックな姿勢が控え選手のモチベーションに火を付け、ベンチの充実につながっている。

 チームは10年ぶり2度目の開幕3連勝。記録には残らなくても、ユアスタにいた全員の脳裏に、柳沢の“ゴール”が刻まれたはずだ。【亀山泰宏】<仙台強さの秘密>

 (1)戦術の進化

 今季は全体をよりコンパクトかつ高い位置で保ち、前からボールを奪いにいくサッカーにシフト。得点機を増やすことに成功した。アウェーで相手が攻撃的に来る時や試合展開によってはラインを下げ、昨季リーグ最少失点を誇った強固なブロックを発動。昨年4位のチームが戦い方の幅を広げた。

 (2)「因縁ファイブ」

 手倉森監督が命名した開幕5連戦。指揮官の古巣鹿島、震災の影響で退団したFWマルキーニョスが加入した横浜、仙台の前身クラブでプレーした鈴木監督率いる大宮、新加入DF上本の古巣C大阪、昨季のレギュラーDFチョ・ビョングクが移籍した磐田と続く。「目標は5戦全勝、最低でも3勝2分け」と強気に設定。選手のプライドをくすぐった。