前田の右サイドで活路を見いだす。札幌は26日、札幌・宮の沢で戦術練習を行った。左太もも裏肉離れで5月26日の広島戦以降、戦列を離れていたFW前田俊介(26)が、右MFに入ってプレーした。明日28日の名古屋戦(午後7時、札幌厚別)で、今季初のサイドハーフでの戦列復帰が濃厚。新加入MFハモン(24)との連係を生かし攻撃力アップを図る。

 配置転換で新戦力とのコラボレーションを図る。この日、前田は本来の1トップではなく右サイドから得意のドリブルを生かしてチャンスメークした。名古屋戦出場なら、5月19日の鹿島戦以来2カ月半ぶりの公式戦。久しぶりの出番に「もうケガの方は問題ない。まずはチームの約束ごとをしっかり守って、そこから自分の持ち味を出していきたい」と意気込んだ。

 守備も無難にこなした。1トップで出場していたときは、石崎信弘監督(54)は守備の制約を特に与えず攻撃に専念させていた。新ポジションは相手サイドプレーヤーを封じる守備的負担が大きい位置。石崎監督は「意外に守備のポジショニングもいい。頭の良さがプレーに出ている」とDFセンスにも及第点を与えた。

 18戦11得点と苦しむ攻撃陣を改善し、さらに前田の負担も軽減する一石二鳥のコンバートだ。負傷前はドリブルで時間をつくる部分も、決定的パスを出す部分も、ほぼ1人で担ってきた。だが「前を向けばハモンがパスを出してくれる。そこは任せられる。僕はついていけるように」と言った。ハモンが「最もエクセレントな選手」と評価する戦術眼で、新布陣を一気にバリエーション豊かに変身させる。【永野高輔】