<天皇杯:長野パルセイロ1-1(PK5-3)札幌>◇8日◇2回戦◇札幌厚別

 スタミナ負け-。札幌はJFL長野パルセイロと対戦し、1-1のまま延長でも決着つかず、PK戦の末に敗れた。07、08年以来4年ぶりの2年連続初戦敗退。PK負けは07年初戦以来5年ぶり2度目となった。延長前半7分に相手選手の退場で数的優位になったが、DF岡山一成(34)が両足をつって同後半に負傷退場。交代枠を使い切ってしまったため、アドバンテージを生かせぬまま無念の敗退となった。

 ブーイングが出て、当然の結末だった。スタンドにあいさつへ向かう札幌選手に激しいヤジが飛んだ。「地域リーグからやりなおせ!」。1日のリーグ清水戦敗戦後は、無言の抗議だった。今回は下位リーグ相手だった。温かいサポーターも我慢ならなかった。

 空回りの連続だった。石崎信弘監督(54)は1-1の後半37分に、MF砂川を3人目の交代選手として投入した。「90分で勝つつもりで交代枠をきった」。だが、決定機をつくりながら勝ち越し点は奪えず、延長戦に突入した。延長前半3分、まずMF山本の足がつった。そこで、守備に負担がかかるボランチから前線に上げて、応急措置を施した。

 トラブルは止まらなかった。同6分には相手選手が2枚目の警告を受け退場。数的優位に立ったが、同後半開始直後に今度はDF岡山が両足をつって負傷退場した。「優位を帳消しにしてしまった。戻りたかったけど…。申し訳ない」。10人対10人となり、120分でも決着つかず、PK戦に突入した。FW内村が外し、相手は全員成功。相手の良さをクローズアップしただけの寂しい2時間半だった。

 長野パルセイロのプロ契約選手は、得点を決めたMF向ら3選手のみ。他の選手は午前中に仕事をしてからサッカーに臨む半アマチュア軍団だったが、1つ自負できるものがあった。それは「相手より多く走る」こと。元柏DFの薩川監督は「技術では歯が立たないが、フィジカルでは勝っていた」と胸を張った。強い相手の足をすくうために必死で立ち向かう相手に、札幌は力を発揮しきれなかった。

 J1で苦しむチームに今、何が必要なのか。途中で足がつる選手が続いたことに関して、石崎監督は「フィジカルコーチと相談したい」と今後のテコ入れを示唆した。MF河合、GK高原ら精神的支柱になれる選手の復帰は好材料だ。屈辱の敗戦も、泥臭い札幌らしさを取り戻す糧にしたいところだ。【永野高輔】