<J2:町田0-3湘南>◇最終節◇11日◇町田

 「湘南の暴れん坊」が、J1に帰って来た。最終節で湘南が町田に勝利し、3季ぶりのJ1復帰を決めた。試合開始2分でFWキリノ(27)が先制して流れを引き寄せると、最下位の町田を力でねじ伏せた。甲府とスコアレスドローに終わった京都を抜いて、自動昇格の2位に浮上。育成年代の指導歴が長い■貴裁(チョウ・キジェ)監督(43)が、昨季は14位に沈んだチームを立て直し、就任1年目で大きな成果を出した。

 選手の動きが一瞬、止まった。守備につこうとしていた瞬間に試合終了の笛を聞いた。一斉にベンチへ顔を向ける。視界に入ってきたのは、まっすぐに駆け寄ってくる仲間の姿。それは、“昇格”を意味する歓喜だった。選手は抱き合い、■監督はベンチ前に崩れ落ちた。「勝手に自分で倒れてしまった。彼らがあれだけ喜んでいるのを見て、ホッとした」。うれし涙は、なかなか止まらなかった。

 試合開始1分13秒、MF古林の右クロスにFWキリノが右足で合わせて先制。同44分には右CKからこぼれ球を拾い、最後はMF高山のシュートをキリノがジャンプして避け、そのままゴール。後半22分にもMF古林のクロスからFW大槻がダメ押し3点目。J1自動昇格圏内の2位を争い勝ち点差1で追っていた京都が甲府と引き分けたため、逆転での昇格が決まった。

 「メンタリスト■」の勝利だった。宿舎からスタジアムに向かうバスの中で、■監督は映像を流した。今年5月のプレミアリーグで、マンチェスターCが後半ロスタイムに2点を返し、クイーンズパークに逆転勝ちをして優勝を決めたシーン。J2だった浦和が、00年にJ1復帰を決めたシーンもあった。「自分たちもドラマを作りだそう」と、選手の感性を刺激した。

 湘南のジュニアユースやユースでの指導経験はあったが、トップチームの監督は今季が初めてだった。それでも「30歳の選手を教えるのも、15歳の選手を教えるのも気持ちは同じ。努力して褒められたらうれしいし、注意したらふてくされることもある」。指導の根っこは同じだった。

 選手からは「チョウさん」と呼ばれる。川崎Fユース時代にも指導を受けたMF高山は「自分が何を考えているのかピンポイントで分析されている。調子に乗って浮かれているときは呼び出され、考えていることをすべて言われる。■さんはメンタリスト。自分にとっての金八先生」と明かした。

 前回J1昇格した10年は18位に終わり、1年で降格する屈辱を味わった。当時トップチームのヘッドコーチだった同監督は「J1の厳しさも分かっている。1回リセットをして、もう今からできる練習をしていく」。早くも来季の戦いを見据えていた。【保坂恭子】

 ◆湘南ベルマーレ

 68年に栃木県那須で藤和不動産サッカー部として創部。75年に本拠地を東京に移転し、93年に平塚へ移転。チーム名を「ベルマーレ平塚」と改称。94年にJリーグ昇格。00年に現チーム名に改称。天皇杯優勝3回。ホームタウンは、神奈川県平塚市、茅ケ崎市など7市3町。※■は十の下に日を2つ縦に並べ、十の縦棒が1つ目の日を貫く