<J2:山形3-0愛媛>◇第38節◇27日◇NDスタ

 J2山形はホームで愛媛を破り、5月19日鳥取戦以来公式戦25試合ぶりの完封勝利を飾った。前半12分にFW山崎雅人(31)が先制点を決めると、同ロスタイムにMF宮阪政樹(24)が追加点。後半43分には、途中出場のMFロメロ・フランク(26)がダメ押しゴールを奪った。攻守がかみ合っての完勝で6位徳島との勝ち点差を6に縮め、逆転プレーオフ進出に望みをつなげた。

 崖っぷちの山形が、逆境を力に変えた。早い時間帯に先制し、シュート数は22対7と相手の3倍以上。守備陣も決定的なピンチを招くことなく、5カ月ぶりにゴールを割らせなかった。奥野監督は「集中力が途切れず、日頃からの積み重ねが凝縮されていた」。負ければプレーオフ進出が絶望的となる状況で、最大限の準備をした結果だった。

 試合4日前、12分間のランニングを繰り返す「クーパー走」で追い込んだ。選手たちも「キャンプ中にしかやったことがない」という厳しい走り込み。追い込まれた中でも全力を出し切り、最高のパフォーマンスを発揮する-。練習の目的通り、選手たちは90分間走りきって愛媛を圧倒。敵将の石丸監督に「本当に何もできなかった」と言わしめるほどの運動量だった。

 メンタル面も万全だった。前節札幌戦で失点に絡むミスを犯したGK常沢は「みんな気を使ってくれたけど、どうしても思い出してしまった」。失意のどん底にいたとき、負傷離脱中のFW大久保に声をかけられた。「家に遊びに行っていいですか?」。25日に常沢が自宅に招き、愛美夫人の手料理をふるまったという。「移籍してきてからチームメートを呼んだのは初めて。気分転換になった」。完全に立ち直った守護神は、待ち望んだ完封で鬱憤(うっぷん)を晴らした。

 13試合ぶりにFWで先発起用されて先制点を決めた山崎と、5月6日以来となるリーグ戦でのフル出場を果たした宮阪は言った。「崖っぷちの状況だけど、楽しんでプレーできた」。重圧からの焦りで勝ち点を失ってきた最近3戦の姿はない。6位との勝ち点差を縮めて9位に浮上した山形に、わずかながら光が差し込んだ。【鹿野雄太】