<天皇杯:清水0-1仙台>◇4回戦◇16日◇アイスタ

 因縁を断ち切った。仙台が清水に競り勝ち、4大会ぶりに8強進出を決めた。後半37分、MF梁勇基(31)が値千金の決勝ヘディング弾。過去清水戦は1分け6敗、敵地に限れば4戦4敗だった手倉森誠監督(46)にうれしい初勝利をプレゼントした。天敵を退治した勢いのままに、手倉森仙台の集大成にふさわしい悲願のタイトルへ突き進む。12月22日の準々決勝はJ1東京と対戦する。

 手倉森監督が、長い負の歴史に終止符を打った。「うれしいです!」。自らを口が達者と評する指揮官が漏らした素朴な感想が、喜びを物語る。「主導権を握ってねじ伏せようとして、カウンターでやられてきた。チャレンジャーとして守備から入ることを再確認した」。忌まわしき過去を教訓にした。ポゼッションの理想を捨て、前半から相手の攻撃をはね返すことを徹底。1点リードの後半ロスタイムにはDF渡辺を3枚目のセンターバックとして投入。「延長には持ち込ませないというメッセージ」を込めて交代カードを使い切った。なりふり構わぬ采配が実った。

 虎の子の1点は、04年入団の“同期”でもある愛弟子の梁だ。佐々木のピンポイントクロスから技ありの一撃を決め「ヘディングが下手な自分があんなにキレイに決めて、運もあったのかな」と笑った。当初は練習生だった梁の獲得を進言したのがコーチ時代の手倉森監督。梁自身、昨オフにはあるJ1クラブからオファーを受けた。相手側に敬意を持って考え抜いた末に、仙台と複数年契約を結んだ。「優勝争いを経験して、やっぱりここでタイトルを取りたいと思った」。恩師の有終の美を飾りたい思いは強い。

 この日は、来季新監督のアーノルド氏も視察に訪れていた。鬼門を突破し、ラストシーズンに花を添える優勝へ期待は高まる。これまで天皇杯を山登りになぞらえてきた手倉森監督は、富士山の麓で初めて勝利をつかみ「頂上が見えたな!」と宣言。もちろん富士山の、ではない。悲願だった日本サッカー界のてっぺんを、早くもはっきりと視界にとらえている。【亀山泰宏】