浦和が大宮MF青木拓矢(24)を獲得することが14日、決定的となった。浦和と大宮の「さいたまダービー」は、両チーム間に成績で大きな差がある場合でも、熱戦が展開される。日本で唯一、同じ市に本拠地を置くダービーで、青木の浦和への移籍が決まれば、両チーム間での「火種」が増えることは必至だ。

 さいたまダービーの遺恨が深まる移籍が実現しそうだ。浦和が大宮不動のボランチ青木を獲得することが濃厚となった。ここ数日で、浦和幹部はすでに青木と話し合いの場を持ち、両者は大筋で合意したもようだ。浦和は、Jリーグ開幕から参戦しているが、大宮がJ1へ昇格したのは05年。大宮が昇格する前の04年に、MF西村卓朗が浦和から大宮へ移籍した前例はあるものの、大宮→浦和への直接の移籍は初めてのケースとなる。

 浦和は今季6位で、アジア・チャンピオンズリーグ出場権を逃した。総得点66はリーグトップ。一方で総失点56は17位で降格した磐田と同数。来季、タイトルを目指す上で、守備面の改善は必須条件だ。阿部、鈴木と不動のボランチはいるが、ボランチだけでなく3バックのサイドもこなせる上、24歳と若い青木はうってつけだ。

 県庁所在地だった旧浦和市と、新幹線が止まるなど経済面での拠点だった旧大宮市。両市の対立構造が、長年合併を阻んできた歴史がある。Jリーグでは、上位争いをする浦和と、万年2ケタ順位の大宮。だがJ1でのさいたまダービーは今季終了までで浦和の6勝、大宮の7勝、5引き分けと大宮がわずかにリードしている。順位に差はあれど、お互いのプライドをかけて、雌雄を決する場がさいたまダービーだけに、移籍が実現すれば因縁が増えることになる。

 ◆青木拓矢(あおき・たくや)1989年(平元)9月16日生まれ、群馬県出身。前橋育英高から08年大宮に加入。10年1月のアジア杯最終予選のイエメン戦で日本代表に初招集された。179センチ、73キロ。血液型O。

 ◆ダービーマッチ

 イングランド・ダービーシャー州にあるダービーで2つの教会区に分かれ、サッカーの試合が行われたことが由来という説。もう1つは同じ本拠地のダービーカウンティとダービーシティが対戦することで、ホームとアウェーの区別をなくし、ダービー同士の対戦そのものを呼ぶという説もある。