初のJクラブとの対戦で課題が浮き彫りになった。仙台は宮崎・延岡キャンプ6日目の8日、J2大分と練習試合(45分×3本)を行い、合計2-3で敗戦。アーノルド監督(50)がキャンプで取り組んできた細かいパス回しは影を潜め、攻撃が単調に終わった。

 大分の素早いプレスに、キャンプで培ってきたスタイルを見失った。最終ラインから縦に入れようとするボールを徹底的に狙われ、ショートパスをつなぎながら攻め込む形が作れない。ボランチに入った富田は「(コンパクトな陣形の)相手を広げさせるために、ロングボールが増えてしまった」。大きく蹴った後のこぼれ球も拾えず、1本目は終始大分ペース。唯一のシュートだったFWウイルソンのPKも枠を外れた。

 2本目もコンビネーションで崩す形は少なかったが、キャンプの成果を見せた場面があった。18分、MFマグリンチィと武藤が前線から連動してプレッシャーをかけ、ボールを持った相手はバックパスを選択。これがGKのクリアミスを誘い、詰めていたFW赤嶺が頭で押し込んだ。5分後に練習試合3戦連続となるゴールも決めた武藤は「前からのディフェンスは細かくやっていたので、(1点目は)うまくハマッてくれた」と手応えを口にした。

 苦しみながらも先に2点を奪ったが、守備の課題が露呈した。2本目25分と3本目3分に、いずれもショートコーナーから失点。明らかにDFラインの押し上げが遅れていた。その後もセンターバックの間を1本のパスで破られるなどピンチの連続。GKダニエルの好セーブでしのいだが、39分にフリーで抜け出された相手に3点目を献上した。角田は「攻撃も守備も練習でやってきたことを出せなかった。でも、この時期に課題が出てよかった」。開幕まであと3週間。指揮官の求めるサッカーを信じて、レベルアップを図っていくしかない。【鹿野雄太】