<J2:札幌1-0群馬>◇第8節◇20日◇札幌ド

 前田が決めた!

 J2札幌は群馬に勝ち、ホーム3連勝を飾った。0-0の後半19分にMF前田俊介(27)が決勝点を挙げ、1点を守り抜いた。前田の決勝点は昨年8月21日の愛媛戦以来。これで札幌ドームでは、10年12月4日の最終熊本戦以来約3年半ぶりの3戦連続完封勝利となった。昨年7月27日の鳥取戦以来、同ドーム9戦無敗でクラブ記録も更新。プレーオフ圏の6位に再浮上した。

 流れるような一撃だった。後半19分、パウロンのヘッドを相手DFが後ろにこぼすと、前田は一瞬で奪い取り、ゴール前に抜け出した。「狙っていればチャンスはくるやろと思ってました」。左からDFが追いかけてくるのを横目で確認すると、軽く左足でワントラップしDFと反対の右側にボールを流し、コースを見極め右足を振り抜いた。

 「なかなか難しい角度。あれはいいゴールだった。ハーフタイムに決めてこいって言ったからね」と野々村社長。右から斜めに放ったシュートは、ゴール左に突き刺さった。試合後はゲームスポンサーのひまわりホールディングスからMVP賞に選ばれ賞金10万円をゲット。サポーターへの感謝を言った後「ひまわりさんのおかげです。取れて良かったです」と喜んだ。

 札幌ドームでは初のお立ち台だった。「内容が良くなくても勝てたのが良かった」。基本は自らボールを持って周りを動かすタイプだが、今季はDF裏への飛び出しを意識し、受け手としての動きも積極的に取り入れてきた。テクニックを生かした天才肌と言われながらも、献身的に前に走りだす姿勢が貴重なゴールにつながった。

 やっと主役になった。3月9日の山形戦で今季初得点も、追いつかれドロー。札幌加入後6得点も、これまで決勝点は昨年8月21日の愛媛戦だけだった。その試合は後半途中出場のFWビンがデビュー戦で3点目をアシストし、前田にはスポットがあたらなかった。前節の大分戦に向け移動途中、女性ファンに突然「前田選手、早くヒーローになってね」と激励された。「頑張ります」と意気込み今季初のフル出場と奮闘も、無得点での敗戦。チームとして結果が出ない歯がゆさを、本拠札幌ドームに戻って晴らした。【永野高輔】