J2札幌のMF小野伸二(35)が20日、8月25日の栃木戦以来、56日ぶりに実戦復帰した。札幌宮の沢で行われた道都大との練習試合にスタメン出場。前半は3トップの左、後半はボランチの位置で計61分プレーし、惜しいシュートを放つなど右太もも裏筋膜炎からの回復をうかがわせた。目指している次節26日湘南戦(札幌ドーム)での公式戦復帰は微妙ながら、出場に向けて意欲を語った。

 この日、小野が最初に光った瞬間は、前半26分だった。左から中央に切れ込むと、DF小山内の右からのクロスに頭で合わせた。ゴール右のポストにはじかれたボールの行方を見て、思わず舌を出した。後半10分には相手のDFラインを抜け出してゴールを決めたかに見えたが、オフサイドの判定に泣いた。「ヘディングにしろ、オフサイドにしろ、得点にからまないといけない」と、悔しそうに言った。

 右太もも裏筋膜炎で実戦を離れて2カ月弱が経過した。リーグ戦を9試合連続欠場。7日には一時全体練習に合流したが、患部に再び違和感をおぼえて別メニューに逆戻りした。16日に再合流を果たしたばかりで、この日も後半16分にピッチを後にした。完調にはない。「シュートミスも、パスミスも、トラップミスもあった。現時点では60分が限界」と反省を口にした。

 大学生相手の一戦で小野の状態を確認したバルバリッチ監督(52)は「2カ月戦列を離れていた後のケガ明けの試合。まずはケガなく終えられてよかった。ここから試合勘やフィジカルの部分を上げていくことになる」と、遠回しながら早期復帰に慎重な見方を示した。再び再発すれば、今季絶望の事態にもなりかねない。公式戦起用は、状態を見極めてからだ。

 J1昇格プレーオフに加われる6位との勝ち点差は3。残り5試合で、すでにJ2優勝を決めている次節26日の湘南戦は正念場の一戦となる。小野は「現実的に出場は厳しい。ただ休み明けは頭から合流して、(出場可能な)高いレベルを意識してプレーしていきたい。どうするかは監督が決めることですが、湘南戦も目指します」と意欲的に話した。明日22日の練習再開から、天才MFが復帰へのギアを1段上げる。【中島洋尚】