20日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)1次リーグでアーセナル(イングランド)と戦うBミュンヘン(ドイツ)のサポーターが、試合開始から5分間、敵地エミレーツ・スタジアムのスタンドへ入らない可能性が出てきた。

 同試合のチケットは、最低でも送料込みで100ユーロ(約1万3500円)かかるため、「高すぎる!」とBミュンヘンサポーターが激怒。SNSなどを通じ、試合最初の5分間、抗議のためにアウェーチーム側のスタンドへ入らないことを呼び掛けている。

 サポーターグループの「FCバイエルン・ワールドワイド」はフェイスブックに「このような料金体系は、若者や生活の苦しい人々の観戦を不可能にし、ファン文化を破壊することになる」などと理由を記している。

 同グループによると、Bミュンヘン本拠地でのチケット最低価格は30ユーロ(約4050円)。一方、アウェーでの観戦となると、チケット代のほか、宿泊費や移動費もかかるため、事実上、貧困層は応援に行くことができない。

 最近はスポーツだけでなく、コンサートのチケットなども軒並み高騰しているように感じる。

 不況のご時世、プロスポーツチームはなかなか大口のスポンサーを獲得することが難しい。少しでもチケット代を高く設定し、その分を埋め合わせようとしているのだろう。

 また音楽においては、インターネットサイトからの1曲ずつのダウンロードが主流となり、CDの売り上げが落ち込んでいる。ミュージシャンたちもライブで稼がなければ、食っていけない。それがチケット高騰につながっている。

 だがBミュンヘンサポーターが指摘しているように、バカげたチケットの高騰はファン離れを加速させ、スポーツ離れ、音楽離れを生むと思う。

 ファンが見ていなければ、プロスポーツは「無」に等しい。そのことをクラブ、選手たちがどう感じるか。アーセナル-Bミュンヘン戦の最初の5分間、スタジアムがどのような雰囲気になるのか注目したい。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)