ドイツ警察労働組合のトップを務めるライナー・ウェント氏が、ブンデスリーガを運営するドイツ・フットボールリーグ(DFL)を激しく批判した。

 今週末のブンデスリーガ第29節では、ドイツで最も注目が集まるダービーの1つ、DF内田篤人が所属するシャルケと、MF香川真司のドルトムントによるレビーア・ダービーが開催されるだけでなく、FW大迫勇也のケルン対レバークーゼンによる隣町ダービーも行われる。

 しかし両試合の会場はどちらもドイツ西部ノルトライン=ウェストファーレン州に位置し、同州警察の管轄内。ダービーという、通常よりもはるかに厳重な警備を敷かなければならないゲームが2つもあることで、当局はほぼ総動員となってしまうのだ。

 専門誌「スポーツビルト」によるとウェント氏は、「TV放映権のため極力試合を分散しなければならないという事情は分かる」と、一定の理解を示しながらも、「しかしこれにより我々警察官は厳しい超過労働を強いられることになる」と声を荒らげ、「5月1日(日)はメーデーにより各地で大規模なデモが行われるから、その日はブンデスリーガの試合を開催しないということになった。だが、ドイツサッカー界はそれ以外のことをまったく考慮してくれない」と激怒しているという。

 ちなみにノルトライン=ウェストファーレン州には、上述の4クラブ以外にもボルシアMGがブンデスリーガ1部に在籍。またビーレフェルト、デュッセルドルフ、ボーフム、デュイスブルクの4チームが同2部に所属するなど、いわゆる“プロクラブ密集地域”であり、同州警察官の総勤務時間の実に3分の1が、サッカー場警備にあてられているとの報告がなされている。

 いずれにしても、10日のレビーア・ダービーへ取材に行く身としては、何も起こることなく、無事に帰宅したいものである。