伝統のミラノダービーで、注目された日本人対決は実現しなかった。インテルミラノDF長友佑都、ACミランFW本田圭佑(ともに28)はそろって出番なしに終わった。0-0と見どころの少ない試合で、日本から視察に出掛けたバヒド・ハリルホジッチ監督(62)も“空振り”。お目当ての2人のプレーを生でチェックする機会を逃した。

 ホーム扱いだったインテルの長友も、ミランの本田もベンチのまま90分を終えた。2人を目当てに日本から初の視察先をミラノと決めてやって来たハリルホジッチ監督も当てが外れた。7万人超の観客で埋まった巨大なスタジアムを後にする指揮官は、通訳を通じ「長友も本田も出なくて残念でした」とコメントを残し、足早に去っていった。

 これが日本代表の主力の所属クラブでの現実だ。控えとなった長友と、左足首捻挫からの復帰戦となった本田。ともに大舞台に立つことはなかった。示し合わせたかのように2人とも、取材エリアを「お疲れさまです」とだけ言って通り過ぎた。語るべきこともなかったようだ。

 ミランのインザギ監督は本田を起用しなかった理由を「昨日『強く蹴ると痛みを感じる』と言っていた。スソも調子良くチェルチもいたから」と説明。けがの間に、ライバルに定位置を奪われたようだ。

 ただ、仕事熱心な日本の指揮官は単なる“空振り”には終わらせなかった。20日夜、日本協会を通じ「試合後に2人の顔を見ながら、話をすることができたのは大変有意義な時間となりました」とコメントした。出発前からスケジュールが許せば選手とテーブルを囲み、食事をしながら思いを伝える意向を持っていた。いきなりのディナー会談が実現した可能性もある。とはいえ、2人とも直接所属クラブでのプレーを披露する機会を失い、今後も不透明。代表の顔で不動の存在だった2人には、厳しい状況が続きそうだ。【西村明美通信員】