現職副会長２人を含む７人が逮捕されるなど汚職事件に揺れる国際サッカー連盟（ＦＩＦＡ）は２９日、スイスのチューリヒで総会を開き、会長選挙を行う。欧州サッカー連盟（ＵＥＦＡ）のプラティニ会長（フランス）は２８日、５選を目指すブラッター会長（スイス）に辞任を求めたが、ブラッター氏は拒否。同日の総会開会式では自身の進退について言及しなかった。英ＢＢＣ放送によると、キャメロン英首相も辞任要求を支持する考えを示し、国際的な批判は高まった。

　ブラッター会長との対決姿勢を強めるＵＥＦＡは２７日に理事会を開き、「ＦＩＦＡの文化が根底まで腐敗している証拠」と強く批判する声明を発表。会長選の延期を要望し、総会のボイコットも検討した。しかし、２８日の会議で参加を決めた。

　会長選は加盟２０９協会の代表者による投票で決まり、過半数を得た候補者が当選する。

　当初３人だった対立候補はアリ王子（ヨルダン）に一本化。欧州の支持を受けるアリ王子は「世界中のサッカーファンの自信を取り戻すリーダーシップが必要だ」と体制刷新を訴えた。

　捜査への全面協力を打ち出しているブラッター会長は総会開会式で「ＦＩＦＡにとってかつてない難しい時だ。昨日の出来事はサッカー界に大きな影を落としている。われわれは失った信頼を取り戻さなければならない」と話した。日本サッカー協会が所属するアジアと、アフリカの各大陸連盟は同氏を支持している。

　捜査では訴追対象がさらに広がる気配が濃厚で、米司法当局は起訴資料の中で、氏名不詳の共犯者多数の存在に言及している。