<練習試合:エスパニョール4-0ペララダ>◇25日(日本時間26日)◇スペイン・ペララダ
【塩畑大輔、山本孔一通信員】エスパニョールMF中村俊輔(31)が、わずか45分間でスペインのファンの心をつかんだ。チーム加入後初の実戦となった25日のペララダ(スペイン5部相当)との練習試合に後半開始から出場。絶妙なスルーパスやポスト直撃のミドル弾で再三会場を沸かせ、同38分にスルーパスでMFイバン・アロンソの得点もアシストした。試合終了直後には興奮してピッチに乱入した観客に取り囲まれ、約200人のファンが駐車場まで殺到。目の肥えたサポーターから早くもヒーローとしてあがめられた。
試合終了と同時に観客がピッチになだれ込んだ。中村を取り囲むと、次々と握手とサインを求めた。まるで「救世主」に群がる群集のようだった。会場の興奮はしばらく収まらなかった。約200人のサポーターが駐車場にまで押しかけ、乗用車に乗り込む中村を囲んだ。「中村に触ったぞ!」。子どもたちが喜んで走り回った。
エスパニョールに移籍して初めての実戦。後半開始からピッチに立った背番号7の日本人は、すぐに主役になった。開始4分、左サイドを走るイバン・アロンソへ40メートルのサイドチェンジパスを通すと、スタンドから最初の驚きの声が上がった。同20分に強烈な20メートルミドルシュートがゴール左ポストをたたくと、この日一番の歓声が地鳴りのように響いた。
結果も出した。後半38分、中央で後方からのパスを受けると、相手DFの寄せを許さぬほど鋭く反転し、前方にスルーパス。「ボールを受けた瞬間、周りが見えた。一瞬でイメージが沸いた」。GKとの1対1で決めたイバン・アロンソのゴールと、立ち尽くす相手DFの姿を、クールな笑顔で見届けた。
「自陣で味方DFに向けて、浮かせたパスを1本通しただけで、スタンドからオーレという声が起きた」と中村。質の高いプレーの連続が、Rマドリードやバルセロナの試合を見慣れた目の肥えたスペイン人たちの心を引き付けだした。アニメのキャプテン翼のスペイン語タイトルの「ベンジー・オリベル」のコールまで飛び出した。
中村の技術に味方選手まで驚いた。34分、中村は右から左にドリブルし、前方でフリーのMFベンサハルを視野にとらえた。誰もが左サイドへの展開を予想する中、右後方でDFライン裏を狙うFWタムードに向けて、右150度後方へスルーパスを出した。予測できなかったタムードは慌ててトラップするのが精いっぱいだった。
獲得に尽力したエスパニョールのリブレ会長は「ナカ、やはり最高だ!」と連呼。ポチェッティーノ監督も「いいプレーをしてくれた」と合格点を与えた。地元紙ムンド・デポルティーボの女性記者アナさんも「センセーショナルな活躍。特にパスは一級品。視野の広さもすばらしい」とスペインでの活躍に太鼓判を押した。
今回はアマチュアチームが相手で、相手守備陣のプレッシャーが少なかったこともある。それでもスペクタクルな攻撃サッカーを好んでやまないスペインサポーターに、中村のプレースタイルが愛されることを証明した。8月2日のリバプールとの親善試合で、さらにサポーターの期待を確信にかえる。
[2009年7月27日8時20分
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