今井だけ…。日本陸連が世界選手権(8月、北京)代表選考レース全体に落胆した。締めくくりのレースは強い雨の中とはいえ、前回13年同モスクワ大会代表の前田和浩(33=九電工)が、2時間11分46秒で日本人トップの4位に入るのがやっと。2月の東京で2時間7分39秒の今井正人(30=トヨタ自動車九州)以外は、決め手を欠く結果になった。サムエル・ドゥング(26=ケニア)が3年ぶり2度目の優勝を飾った。

 寂しい代表選考会となった。日本陸連の宗猛中長距離・マラソン部長は「レース(気象条件)は非常に寒かったが、内容も寒い」と力なく笑った。昨年12月の福岡国際からの全4レースを終えて、代表候補10人が出そろったが「今井は頭ひとつ抜けているが、後は横一線。(代表の)枠があるので3人は選ぶが、似通っている」。

 激しい雨が降る悪条件のレース。30キロ過ぎのドゥングのスパートにナショナルチーム(NT)の前田が反応も33キロ付近で遅れた。タイムも2時間11分46秒。NTとして、せめてもの意地が日本人トップの座だ。

 日本陸連は昨年4月、強化策として12人のNTを発足させた。NTは代表選考で有利になるが、選考会に出場したのは12人中7人、代表候補になれたのは今井と前田の2人だけ。酒井強化副委員長は「今井以外成果は出てないが、これから出てくる」と道半ばであることを認めざるを得ない。

 代表選考は当確の今井を除く2枠を藤原、佐野、前田で争う形。タイムでは藤原、NTの優位性では前田だが、宗部長は「慎重に検討して決める必要があるかな」。その言葉に、男子マラソン低迷へのいらだちがにじんだ。【益田一弘】

 ◆世界選手権男子マラソン代表選考 代表枠は最大3。福岡国際、東京、びわ湖毎日の日本人上位3人と、2月の別大の日本人トップが候補になり、ナショナルチームのメンバーは優先される。今月中旬の理事会で代表を決定する。世界選手権で8位以内に入った日本人最上位は、16年リオ五輪代表に決まる。