日本陸連は11日、世界選手権(8月・北京)マラソン代表として計6人を発表した。男子は今井正人(30=トヨタ自動車九州)が初出場で、前田和浩(33=九電工)と藤原正和(34=ホンダ)は3度目の代表入り。女子は前田彩里(23=ダイハツ)と重友梨佐(27=天満屋)が初出場、伊藤舞(30=大塚製薬)は11年大会以来の代表。世界選手権で8位以内に入った日本人トップは来年のリオデジャネイロ五輪代表に決まる。

 東日本大震災で福島県南相馬市の実家が被災した男子マラソンの今井が「使命」を心に刻んだ。震災から4年の11日、世界選手権代表に初めて選ばれ、「重要な日。使命があるのではないかなと思っています」と決意の面持ち。「みなさんに明るい前向きになるものを一緒に感じ取れるマラソンを作ることが大事」と神妙に話した。

 実家の1階部分は津波で流され、トロフィーなど多くの記念品を失った。昨夏に訪れたが、「家は更地になっています。義理の姉の車が転がっていたり、つらい思いはある」という。両親は今は避難先の茨城県で生活するが、故郷も含め復興はまだまだだと感じている。

 会見終盤、順大時代に箱根駅伝の5区で活躍し「山の神」と呼ばれた30歳は、しきりに時計を気にした。針が午後2時46分に近づくと、「時間ですね」と一礼をして会見場を後にした。