【北京20日=益田一弘】陸上男子短距離のサニブラウン・ハキーム(16=東京・城西高2年)が「鳥の巣」に大興奮だ。明日22日開幕の世界選手権北京大会を前に現地入りしてサブトラックで調整。隣接する08年北京五輪でも使われたメーン会場を見て「中に入ろうと試みたが、止められた」とにやり。大気汚染が懸念される中、だてメガネにマスクと防備態勢を整えて初の世界舞台に挑む。

 サニブラウンが、いたずらっぽく笑った。「中に入ろうと試みましたが、止められた」。北京入りして初めて訪れたサブトラック。目と鼻の先にある「鳥の巣」を見て、うずうず。大会準備中のメーン会場に忍び込もうとして、代表スタッフに止められた。それでも今日21日の前日練習で会場入りのチャンスあり。「入ったら写真を撮りまくろうかな」とにっこり。初の世界選手権が待ち切れない。

 喜ぶ一方で、準備もちゃんと忘れない。出発の羽田空港では黒縁めがねをかけて、ちょっぴり恥ずかしそうに「だてです」。北京はPM2・5などが懸念されており、目を守るため、人生で初めて買い求めた。

 アレルギー持ちの体質でマスクも用意。普段からテレビゲーム中もブルーライトをカットするメガネをつけるという。「長時間やると目が痛くなる」と高校生らしいが、「2・0くらいはある」という視力は走りにとって重要。レースでは「日の丸カラー」のサングラスをつける予定だ。

 この日はサブトラックで約1時間、歩いて体をほぐした。「(大気汚染は)思ったよりもよかったけど、目が乾いてつらいです」と話しただけに備えあれば、憂いなし。25日の200メートル予選から「だて」じゃないところをみせつける。