男子20キロ競歩世界記録保持者、鈴木雄介(28=富士通)のリオ五輪出場が絶望となった。15日、日本陸連を通じて、五輪選考会の日本選手権20キロ競歩(21日、兵庫)欠場と、3月20日の全日本能美大会(石川)のエントリーを見送る方向であると発表。五輪出場には選考会のどちらかで日本人3位以内に入ることが必要で、ともに欠場すれば、世界記録保持者といえどもリオには出られない。

 理由は「恥骨結合炎の影響による、強化および調整の遅れ」とした。昨年3月に1時間16分36秒の世界記録を樹立も、同8月の世界選手権北京大会は恥骨の痛みで途中棄権。その回復が遅れて「現在、少しずつ改善しているものの、レースに向けたトレーニングができていない状況であり、来月についても現時点では出場は厳しいと判断しております」とコメントした。

 金メダル本命の苦渋の決断に、今村コーチは「東京五輪へ向けた強化のスタートと位置付け、万全な状態で日々の練習がつめるようにサポートしてまいります」。鈴木も「自己記録の更新、世界選手権のメダル、東京五輪での金メダルを目指していきたいと思います」と、今後に目を向けた。なお、同種目の代表枠は3で、ここまで内定者はいない。

 ◆鈴木雄介(すずき・ゆうすけ)1988年(昭63)1月2日、石川県能美市生まれ。石川・辰口中で競歩を始め小松高、順大を経て富士通。世界選手権は09年ベルリン大会で42位、11年大邱大会は8位、13年モスクワ大会は12位、15年北京大会で途中棄権。五輪は12年ロンドンで36位。171センチ、58キロ。