マラソン選考は、なぜ毎度議論を呼ぶのか。わたしは代表選手を選ぶ陸連の強化委員会に信頼が置けないことに大きな原因があると思う。福士選手の騒動の根っこにも、強化委員会への不信感が見え隠れする。

 今回、青学大から、東京マラソンで日本人2位の下田と3位の一色が代表選考の俎上(そじょう)に載せられた。落選は仕方ないとはいえ、強化委員会から説明はなく、電話一本の通知もない。代表候補になった段階から、ケガの確認を含め、連絡があるのが当然と思うが、それもなし。異端児の自分が嫌われていると思ったら他の所属もなかったと聞く。選考結果は報道のみで知る。監督と選手には強化委員会への不信感が残った。

 強化と選考は表裏一体のはずだが、マラソン部長を含め、強化委員の方が、青学大へ視察に訪れたことは1度もない。高校、大学、実業団の各所属からの情報を吸い上げ、共有化を図ることが、チーム日本の強化や、一貫指導につながると思うのだが。日本全体の強化という姿勢が見えないから「強化委員の所属選手を選ぶための選考」とまで思えてくる。

 今回の選考は結果的に「順当」に収まった。議論を呼ばなかったからと、失敗に終わったナショナルチーム同様、うやむやにやり過ごしてはいけない。リオ五輪後は、速やかに強化委員会自体の総括と検証を希望したい。そして東京五輪は信頼度の高い強化委員会のもとで代表を選考する。そうすれば複数の選考会があっても、もめ事は減る。選考方法の検討以前に、選ぶ側の組織を再検討することが先決と考えている。