IAAF(国際陸連)ワールドチャレンジ第3戦「セイコーゴールデングランプリ」(日刊スポーツ新聞社共催)が8日、等々力陸上競技場で開催される。世界から集結するトップアスリートに挑む日本の6選手を紹介する。第2回は女子100メートルと400メートルリレーに出場する土井杏南(20=大東大)。

 土井が、リオデジャネイロ五輪を目指すリレーメンバーの1人として責任感を口にした。5月3日の静岡国際。足の違和感でレースを回避したエース福島千里に代わって、2区で代役を務めた。タイムは45秒11と振るわなかったが「ずっと福島さんに頼ってきて、負担をかけてしまった。自分たちでリオの切符をつかみたい。川崎で日本記録(43秒39)を出す。頑張るのは当たり前として日本記録を追求したい」。ロンドン五輪に高校2年で出場してから4年。20歳になったスプリンターは強い決意を口にした。

 400メートルリレーチームが、リオ五輪に出るためには7月11日時点で世界ランク16位以内が必要。現在はボーダーラインで、日本新記録によるランクアップが求められる。福島が不安を抱える中、チームの総力を結集して戦うしかない。

 土井は、4月29日の織田記念国際(広島)で100メートルで12秒07の6位に沈んだ。レース直後は「調子もよかったのに、何をやっているんだろう…」と絶句していた。「織田では100メートルの全体が見えていなかった。スタートで80%近くの力を使っていた」と反省を口にしている。

 解決のヒントは、ロンドン五輪に出た4年前の走りだ。「昔のスタートを見直してみようと思っています。あの時は失うものはない気持ちでリラックスできていた。自分らしいスタートになれるように、重点的にやりたい」と意気込む。

 日本記録は簡単ではないが、あきらめるつもりはない。「本当にがけっぷちですが、下を向かずに。どんな状況でもリオの切符をとることが1番。このままじゃあ絶対に終われない。4年間、何をやっていたんだろうとなる」。4年間の努力を結果に結びつけるために奮起する。【益田一弘】