国際陸上競技連盟は17日、ウィーンで理事会を開き、組織的なドーピング問題で昨年11月に資格停止としたロシア陸連の処分を解除せず、8月5日開幕のリオデジャネイロ五輪に代表チームとして参加を認めないことを全会一致で決めた。国外を拠点に活動し、明確に違反がないと証明できる選手に限り、個人資格で五輪参加を申請できるよう規定を変更したが、ロシア調査チームの責任者、ルネ・アンデシェン氏は「非常に狭き門だ」と語り、参加は少数になるとの見通しを示した。

 旧ソ連時代からメダルを量産してきた陸上の強豪が原則的に五輪から除外される異常事態となり、競技への影響が懸念される。プーチン大統領は処分継続を「不公平だ」とし、国際陸連を非難した。

 アンデシェン氏は「ロシアは上層部から底辺までドーピングに汚染されている」と指摘し、国外の厳格な検査態勢の下で違反がないと証明された選手に参加を限定する方針。国内でも練習してきた女子棒高跳びの世界記録保持者、エレーナ・イシンバエワ選手が参加できるか注目される。

 また、反ドーピングに著しく貢献した選手も五輪参加を申請できることを決め、ロシアの薬物問題を内部告発し、夫と共に国外に移住した女子中距離の元ロシア代表ユーリア・ステパノワ選手が申請すれば参加が前向きに検討されるとの認識を示した。

 処分解除を全会一致で見送ったことに、国際陸連のセバスチャン・コー会長は「強い決意の表れ。陸上競技にとって悲しい日だ」と述べた。

 国際オリンピック委員会(IOC)は今後の対応を巡り、18日に電話会議で理事会を開くと発表した。潔白な選手の参加については、IOCは21日に開く会議「五輪サミット」で、個人の救済策を含めて検討する。

 ロシア陸連は昨年11月に世界反ドーピング機関(WADA)第三者委員会の報告書で組織的なドーピングを認定された。その後も2014年ソチ冬季五輪の不正疑惑が浮上し、08年北京、12年ロンドン両夏季五輪の再検査でもロシア選手から22件の陽性反応が出ていた。