男子1万メートルで、「陸上界の海外組」大迫傑(24=ナイキ・オレゴンプロジェクト)が28分7秒44で初優勝し、リオデジャネイロ五輪代表を内定させた。

 序盤から先頭集団で淡々をレースを進めると、残り600メートルからスパート。追走する村山紘太を一気に引き離して、ゴールに飛び込んだ。頭上で両手を何回もたたき、こん身のガッツポーズ。「おっしゃ!」と雄たけびも挙げたのは、5年分の喜びがあったから。12年大会から1万メートルは3年連続2位、昨年大会も5000メートルで2位とあと1歩が届かなかった。

 五輪がかかる舞台で結果を残したのは、昨年から移住した米国での進化の証明になる。日清食品を退社して、世界のトップ選手が集まる「ナイキ・オレゴンプロジェクト」に正式加入した。早大時代から短期間の練習参加をしていたが、五輪で戦うために決断した。ロンドン五輪金メダリストのファラーらと練習を一緒に積むなかで生まれたのは「心の余裕」。最期の勝負どころまで我慢できずに仕掛けのタイミングを見誤った自分を過去にした。この日も「リラックス、リラックス」と心を落ち着けて勝負どころを冷静に見極めた。

 26日には5000メートルも控えるが、ひとまず五輪初出場を決めた。リオでは「8番以内は明確な目標。そこは目指したい」と力強い。練習では世界の超一流にも「つけている」という日本長距離界の希望が、日本一の称号とともにブラジルに乗り込む。