女子1万メートルは派遣設定記録を突破している鈴木亜由子(24=日本郵政グループ)が31分18秒73で優勝し、初の五輪代表を地元・名古屋で手にした。名古屋大卒で「旧帝大」出身の女子としても初の快挙となった。

 ラスト1周でスパートすると地元ファンの大声援を後押しに、デッドヒートを繰り広げていたチームメートの関根を置き去りにし、フィニッシュした。「応援が大きな力になった。愛知で育って本当に支えてもらっている。五輪という形で恩返しできてうれしい」と感謝した。

 スーパー中学生と騒がれながら、高校に進学すると高1、高2と立て続けに右足甲を疲労骨折した。2度の手術を受け、腰骨を移植。まったく走れない日々に競技人生に迷いが生じたが、高橋監督からチームに誘われ変わった。

 故障しない体を作ることから始め、栄養面を見直した。徐々に戦える体に変貌し、社会人2年目で日本のトップに立つまでになった。「諦めずやってきて良かった」と話す。

 昨夏、世界選手権5000メートルで9位。五輪内定の8位までわずか0秒29差で入賞を逃した。26日はその5000メートルに出場する。「もう1度、世界で勝負したい」。2冠を手に世界に再挑戦する。【松末守司】

 ◆鈴木亜由子(すずき・あゆこ)1991年(平3)10月8日、愛知県豊橋市生まれ。小2で陸上を始める。時習館高-名古屋大-日本郵政グループ。昨年の世界選手権北京大会は女子5000メートルで自己ベストの15分8秒29で9位。五輪内定の8位入賞までわずか0秒29差だった。154センチ、39キロ。