ウサイン・ボルト(29=ジャマイカ)は男子200メートルに19秒89で優勝。今月上旬のジャマイカ選手権を欠場していたが、リオ五輪への不安を吹き飛ばした。

 ボルトはスタートこそもたついたが、50メートル付近からぐんぐん前に出て、直線へ入る時点ではすでに1メートル以上のリード。直線はリラックスを強調した走りで後続を引き離した。

「重要なのはこの大会に出場し、勝ったということ」と、自身の走りを評価しながらも、笑顔はほとんど見せなかった。19秒89は今季世界5位のタイム。復帰戦としては合格点といえたが、もう少し上のタイムを自身に期待していたのだろう。

「着実によくなってきているけど、完全な状態ではない。今日は、コーナーで攻めきれなかった。もっと練習していくことが必要だが、ケガの心配をしないで練習を続けるところまでは持って来られた」

 リオ五輪では100メートル、200メートルともに3連覇がかかる。実現すればトラック種目では五輪史上初の快挙だ。

◆今季の男子200メートル

 ダイヤモンドリーグ・ロンドン大会の結果で世界記録(19秒19)保持者のボルトが金メダル候補筆頭に躍り出た、と言っていい。08年北京五輪以降のすべての五輪&世界陸上で勝っている実績は抜群。ロンドンでは今季世界5位のタイムだったが、大舞台で一気に記録を縮めるボルトの強さを考えれば19秒5前後までは出せそうだ。

 昨年の世界陸上銀メダルのジャスティン・ガトリン(34=アメリカ)が、全米選手権も制して対抗の一番手に挙げられる。世界歴代2位(19秒26)を持つヨハン・ブレイク(26=ジャマイカ)は13年に故障をして、その後もなかなか立ち直れなかったが、今季はジャマイカ選手権2冠となるなど復調してきた。

 ボルトも年齢とともに本数を重ねることが難しくなっている。100メートル予選から始まって6本目となる200メートル決勝は、「後半はケガをしないように走った」という大会もあった。例年に比べ、ボルトに不安要素が大きいのも事実だろう。