青学大が2時間10分9秒で連覇を飾った。2区でトップに立つも、3区で東海大に逆転を許す。連覇への危機だったが、後半に並んだ最上級生が底力を発揮した。4区の茂木亮太(4年)が差を詰め、5区で不振とケガに苦しんだ安藤悠哉主将(4年)が区間新で再逆転に成功。最終6区はエース一色恭志(4年)がチームを優勝に導いた。今大会の作戦名は「神ってるぞ 青山大作戦」。命名通りの好走で、来月6日の全日本、来年1月の箱根の大学駅伝3冠、箱根3連覇の目標へ好スタートを切った。

 1年9カ月ぶりのタスキが力をくれる。5区。安藤主将は首位の東海大と11秒差で、同じ4年生の茂木からタスキを託された。「みんなの汗が染みこんでいた」。不振とケガで駅伝出場は昨年1月の箱根以来。「ここで負けたら男じゃない」。序盤で東海大の三上に追いつくと並走が続く。タスキを握りしめながら残り70メートルで逆転。区間新の走りで連覇を呼び込んだ。

 2年生だった昨年1月の箱根ではガッツポーズをつくってゴールに飛び込んだ。昨年度は一転、不振から出雲、全日本、箱根の3大駅伝に出場できない。今年1月の箱根後、リーダーシップを見込まれて主将に選ばれたが、右アキレス腱(けん)痛を発症。走れない日々が続く。大学で陸上は引退するため、3月から就職活動をしたが苦戦。15社以上から落とされた。

 昨年の主将は山の神といわれた神野大地。主将としての重圧も加わった。苦しい日々を乗り越えた原動力は仲間の存在。約50人の部員。試合に出られる人はわずか。「悔しいのは自分だけではない」とリハビリと就職活動に励んだ。苦労した分、積極的に補欠、ケガ人には声を掛けた。「下の人間がくさらずに頑張れば、上も刺激を受けて頑張る」。自身の復調とともに、チームは例年以上にまとまった。

 就職は苦労の末、スポーツシューズメーカー「ニューバランスジャパン」に内定。この日は区間新と主将の役目を果たし「神ってるぞ 青山大作戦」を命名した原監督から「安藤が神っていた。苦労してたくましくなった」と絶賛された。苦労人の主将がいる青学大は今年も強い。【田口潤】