全日本実業団対抗女子駅伝は11月27日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間42・195キロで行われる。第一生命はマラソンの田中智美(28)と5000メートルの上原美幸(21)の2人のリオ五輪代表を軸に頂点を狙う。

 上原は今年6月の日本選手権5000メートルでは5位だったが、将来性を加味されて五輪に選出された。そしてリオでは代表3人中ただ1人決勝に進出し、東京五輪期待の星となった。松田三笠コーチは「駅伝は走って当たり前という意気込みを感じるようになりましたね」と上原の精神的な成長を認める。昨年は入社2年目でエース区間の3区(10・9キロ)に抜擢され区間2位。今回は文字通りエースとしての走りを期待されている。

 上原のリオの快走を日本で見ていたチームメイトも、大いに刺激を受けた。昨年は1区(7キロ)を走った田中華絵(26)は殻を破れず停滞していた選手だが、この夏から「距離を積んだ上で、スピード練習を入れる時期も変更」(松田コーチ)するなど新しい練習パターンを試し始めているという。国体5000メートルでは5位に入賞し、1区の区間賞候補に挙げられるまでに成長した。

 飯野摩耶(28)の再加入も大きい。高卒で第一生命に入社し、エース区間の3区を走ったこともある選手。しかし同部を一度は退部して2012年に東農大に入学。1500メートルで日本トップレベルに成長して大学女子駅伝でも活躍し、今年再び第一生命に入社した。松田コーチは「駅伝で自身の役割を理解できる選手で、どの区間にも起用できる。飯野を2区(3・9キロ)に起用できればチームは良い状態」と期待をかける。

 リオ五輪でマラソンを走った田中智は調子が上がれば5区(10キロ)か6区(6・795キロ)での出場の可能性が高い。松田コーチは「代表2人の状態が上がってくれば3位が見えてくる」と控えめながらも、5年ぶり3度目の優勝を狙える手応えを感じていた。