男子やり投げでリオ五輪金メダリストのトーマス・レーラー(25=ドイツ)が、世界歴代2位となる93メートル90で優勝。女子200メートルのエレイン・トンプソン(24=ジャマイカ)、女子800メートルのカスター・セメンヤ(26=南アフリカ)らリオ五輪金メダリスト6人が優勝した。また、男子走り高跳びなど6種目で今季世界最高記録が誕生。男子やり投げに出場した新井涼平(25=スズキ浜松AC)は74メートル68で9位と振るわなかった。

 レーラーは90メートルラインを超えたやりの着地を見て、左手を突き上げてから軽く手をたたいて自身を祝福。昨年6月にマークした91メートル28の自己記録前後が出たのはわかった。しばらくして正式記録が表示されると、上半身をかがめながら両手でガッツポーズをした後、右手を思い切り頭上で回し続けた。

 世界記録はヤン・ゼレズニー(チェコ)が96年にマークした98メートル48で、5試合で94メートル以上を投げているゼレズニーは別格の存在だ。90メートルから歴代2位の93メートル09までの間には14人もの選手がいたが、その一群からレーラーが抜け出した投てきだった。

 「シーズンの最初でここまでの記録は予想していなかった。歴代2位の意味はいつかわかってくると思うけど、今は実感がないんだ。今年は芝生の上で、速い動きを多く取り入れたトレーニングをしてきたことが良かったのだと思う」

 男子やり投げにはリオ五輪銀メダルのジュリアス・イェゴ(28=ケニア)も出場したが、81メートル94で7位に終わった。

 レーラーは今月21日のゴールデングランプリ川崎に出場する。今世紀最長アーチを川崎でも期待したい。

 女子では200メートル、800メートル、3000メートル障害、棒高跳びの4種目でリオ五輪金銀メダリスト対決が実現。200メートルのトンプソン、800メートルのセメンヤ、棒高跳びのカテリーナ・ステファニディ(27=ギリシャ)と金メダリストが勝ったが、3000メートル障害は銀メダルのハイビン・ジェプケモイ(25=ケニア)が9分00秒12の今季世界最高タイムで優勝した。金メダリストで世界記録保持者のルス・ジェベト(20=バーレーン)は3位に終わった。

 今季世界最高はレーラー、ジェプケモイ、1分56秒61のセメンヤに加え、男子1500メートルで3分31秒90のエリジャー・モトネイ・マナンゴイ(24=ケニア)、男子3000メートルで7分28秒73のロナルド・ケモイ(21=ケニア)、男子走り高跳びで2メートル36のムタス・エッサ・バルシム(25=カタール)の6人がマーク。ケモイはリオ五輪1500メートルのケニア代表で、日本の小森コーポレーションで活動している選手。

◆今季の男子やり投げ

 ドーハでは世界歴代2位のレーラーに続き、ヨハネス・フェッター(24=ドイツ)も89メートル68の自己新をマークしドイツ勢が1・2位を占めた。リオ五輪銀メダルのイェゴは7位と不調だったが、2年前の北京世界陸上はイェゴが金メダル、イハブ・アブデルラーマン(28=エジプト)が銀メダルとアフリカ勢が席巻した。

 ドーハではヨーロッパ勢が1~4位と好調だったが、イェゴ、アブデルラーマン、リオ五輪銅メダルのケショーン・ウォルコット(24=トリニダードトバゴ)ら、ヨーロッパ以外の選手もロンドン世界陸上までに巻き返してくるだろう。北京世界陸上9位、リオ五輪11位の新井も入賞を目指す。