陸上のダイヤモンドリーグ第2戦の上海ダイヤモンドリーグ大会が13日、中国・上海市の上海スタジアムで行われる。リオ五輪金メダリスト12人が出場するが、男子棒高跳びと男女円盤投げではメダリスト3人が激突。リオ五輪の戦いが再現される。また世界記録保持者も、男子800メートルのデビッド・ルディシャ(28=ケニア)ら4人が出場する。

 跳躍種目は3種目が行われ、その全てでリオ五輪金銀メダリストが対決する。なかでも男子棒高跳びのティアゴ・ブラス・ダシルバ(23=ブラジル)とルノー・ラビレニ(30=フランス)の対決は注目度が高い。

 ラビレニはダイヤモンドリーグが発足した2010年から昨年まで、7年連続でツアーチャンピオンに輝いている選手(今季からダイヤモンドリーグのポイントシステムが変更された。下のダイヤモンドリーグ解説参照)。棒高跳びはポールを持って助走を行う種目特性上、風の影響を受けやすい種目だが、年間を通じて最も安定した強さを見せている選手がラビレニなのだ。

 一方のダシルバは、地元開催のリオ五輪でスーパーパフォーマンスを見せた。5メートル93の自己新をクリアして銀メダル以上を確定させると、次の高さの5メートル98をパス。五輪新となる高さをパスするなど普通はあり得ない選択であるが(ラビレニはこの高さをクリア)、ダシルバは自身初の6メートル台となる6メートル03を2回目に成功して地元五輪のヒーローとなった。

 ラビレニもロンドン五輪金メダルと、勝負弱い選手では決してない。リオ五輪でも自身の持っていた五輪記録を上回ったのだから間違いなく健闘だったが、ダシルバがそれを上回った。

 昨年、ダシルバがダイヤモンドリーグに出場したのは五輪後のチューリヒ大会。ラビレニが6センチ差で勝ったが、その1試合だけである。今年はタイプの違う両雄が年間を通じて対決する可能性があり、上海がその第1戦となる。

 ダイヤモンドリーグポイント対象外種目ではあるが、男子100メートルに日本人3選手が出場する。10秒01の日本歴代2位記録を持ち、今季3試合で10秒0台を連発している桐生祥秀(21=東洋大)、昨年の日本選手権優勝者のケンブリッジ飛鳥(23=USM)のリオ五輪400メートルリレー銀メダリスト2人に加え、高校を卒業したばかりのサニブラウン・アブデルハキーム(18=東京陸協)の参戦も決まった。2年前の世界ユースでは100メートルと200メートルの2冠を達成し、200メートルはボルトの持っていた大会記録を更新した期待の星。

 日本人3選手以外は全員が自己ベスト9秒台という中でのレース。その一方で、シーズンベストでは桐生の10秒01が一番という状況でもある。北京世界陸上5位のマイケル・ロジャーズ(32=米国)に0・5メートル以内の差でフィニッシュすることが9秒台への条件だろう。

 ◆ダイヤモンドリーグ IAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、昨年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していたが、今年はファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会が実施され、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ・チャンピオンとなる。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4または6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計上位8人(種目によっては12人)がファイナル大会に進出。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルのほかダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国毎の出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。