<東京国体:陸上>◇最終日◇8日◇味の素スタジアム

 最終種目の男子4×100メートルリレーは埼玉が39秒85で優勝。前日の準決勝で39秒13の大会新をマークした東京は、1・2走のバトンパスでオーバーゾーンとなって失格した。

 「完全に平常心で臨めました」と振り返るのは埼玉4走の藤光謙司(27=ゼンリン)だ。2009年のベルリン世界陸上は4走で4位入賞。4年ぶりの世界大会出場となった今年のモスクワ世界陸上は補欠として現地入りしたが、山縣亮太(21=慶大)の故障で急きょ2走に起用され6位入賞に貢献した。

 藤光がバトンを受けたとき埼玉は、2走にモスクワ世界陸上3走の高瀬慧(24=富士通)を起用した静岡に先行されていた。「抜けると思えた差でしたから落ち着いて走れました」。後半で予定通りに逆転してガッツポーズをしてフィニッシュした。

 今年の埼玉は藤光を生かせるチームになっていた。100メートルと200メートルの中学チャンピオンの五十幡亮汰(長野中3年)が1走、インターハイ200メートル5位の三田真也(早大本庄高3年)が3走。「チームが良い状態だったので、バトンさえつなげば大丈夫と思っていました。世界陸上で自信もつきましたし、国内なら普通の走りをすれば結果はついてきます」。

 かつては肉離れを頻繁に繰り返していたが、今はその心配がなくなった。「色々な経験をして今がある」。桐生祥秀(17=洛南高、京都)のような若さはないが、藤光の魅力は大人の走り。目標とする五輪&世界陸上の200メートル決勝進出に向け、確実にステップアップしている。