全日本スキー連盟(SAJ)は27日、都内で臨時理事会を開き、昨年12月の米コロラド州遠征で大麻を使用していた未成年のスノーボード男子スロープスタイルで強化指定を受けている2選手に対し、競技者登録の無期限停止などの処分を決め、発表した。SAJの調査で、1人は遠征中のパーティーで外国人から勧められたと認めた。1人は関与を否定したが、毛髪検査の結果、大麻の使用が判明した。スポーツ界で頻発する不祥事。特にスノーボードは過去にも問題を起こしており、SAJの監督責任は重い。

 リオデジャネイロ大会まで、あと100日の節目の日。五輪ムードをぶち壊すようなスポーツ選手の不祥事が、また発覚した。スノーボード男子スロープスタイルの2選手による大麻使用。SAJの古川年正専務理事は「リオ、平昌、東京大会へ、良い影響を与えない」と陳謝した。

 1月、SAJへ1本の情報が入った。「スノーボード選手が海外で大麻を使用している」。SAJは調査チームをつくり、遠征メンバーの選手、コーチ、スタッフから事情聴取。その結果、1人は遠征中のパーティーで、外国人から勧められて吸引したことを認めた。もう1人は事情聴取を2度拒否。SAJ幹部との任意の話し合いでも否定したが、毛髪検査の結果、26日夜に「黒」が判明した。

 この日のSAJの臨時理事会で、2人には事実上の除名となる、無期限の会員、競技者登録の停止、強化指定の取り消しなどの処分を決めた。萩原文和スノーボード部長の辞表を受理し、担当コーチら2人も解任。SAJとしては最も重い処分となったが、未成年のため氏名や年齢は非公表とした。18年平昌大会に関して、古川専務理事は「更生したら道を開く。間に合うかどうか、今は判断できない」と話すにとどめた。プロ活動についてはSAJの管轄外のため、処罰はない。

 国内で法律を犯したわけではないが、大麻吸引は道義的に許されない。バドミントンの違法賭博問題に続くスポーツ界の不祥事。スノーボードはトリノ五輪前年の05年にも大麻疑惑があった。10年バンクーバー大会でも一部選手の服装、言動が批判を浴びた。古川専務理事は「相当厳しく教育してきた」と話したが、不祥事の起きやすい土壌と管理体制の甘さがあったことは否定できない。

 ソチ五輪では8個中3個のメダルを獲得した。期待の有望種目だからこそ、今後は日本オリンピック委員会(JOC)の選手強化本部の方針「人間力の向上なくして、競技力向上なし」の周知徹底が必要になる。

 ◆スノーボード・スロープスタイル 14年ソチ五輪から新採用になった種目。雪の斜面を滑走しながら、コースに設置されたジャンプ台(キッカー)や障害物(ジブ)で技を繰り出す。難度などを審判員が採点し、得点を競う。タイムは採点対象ではない。ジャンプと滑りの技術の組み合わせが重要で、スノーボードの総合滑走力が必要とされる。