アイスホッケー女子日本代表「スマイルジャパン」が全競技を通じ平昌五輪出場決定第1号へ挑む。五輪最終予選の初戦となるオーストリア戦を翌日に控えた8日、会場の北海道・苫小牧の白鳥王子アイスアリーナで練習した。鍵を握るGK藤本那菜(27)は「3試合を0点に抑えれば負けない」と鉄壁を宣言した。2大会連続3度目の五輪出場を目指す日本はドイツ、フランス、オーストリアと1回戦総当たりで戦い、1位のみが五輪出場権を得る。

 優勝チームのみが五輪出場を決める。いよいよ迫った大一番を前に、チームの根幹を支えるGK藤本は穏やかな顔で強気のコメントを吐く。「3試合で0点に抑えれば負けることはないです」。

 山中監督が昨年7月に就任してまだ半年あまり。その中で根気強くチーム方針として徹底させてきたのが「失点を0に抑え、3点差をつけて勝つ」の2大原則。高い目標を掲げてきたのは、藤本の存在があったからこそだ。

 15年世界選手権1部(スウェーデン)では日本人選手としてはじめての個人賞となるベストGKに選ばれた。「世界一のGK」として世界から認められている。昨季は米女子プロリーグ「NWHL」のニューヨーク・リベターズでプレーした。その守護神を中心に、まず相手に先制を許さずに主導権を握るゲームプランを貫いてきた。

 そんな藤本も、実は08年11月のバンクーバー五輪最終予選後、いったん日本代表から離れている。周囲への反発もあり、自分の意思で競技に向き合えるまで4年がかかった。12年夏に代表チームに復帰。ソチ五輪の最終予選では控えで出場なし。ソチ五輪は全5試合に出場も全敗だった。

 今回の最終予選は自分の力で勝利に貢献する意欲にあふれている。「五輪は続けて出ることが大事。マイナー競技なので、このチャンスをものにしないと。私はゴールを守ることです」。切符をつかめば、同時に全競技を通じて出場決定第1号になる。「ソチの時も最初に切符を取りました。最初はうれしいことですし、他の競技にも勢いをつけられます」。

 続けて言った。「4年はあっという間でしたが、いい準備ができました。スケーティング、対応力、前回よりも成長しています」。GKらしく広い視野からチームを鼓舞していく。【井上真】

 ◆順位決定方法 勝ちチームは勝ち点3、負けチームは0。引き分けはなく、オーバータイム(延長戦)に入った時点で両チームに1ポイントが入る。オーバータイムもしくはゲームウイニングショットで決着がついた場合、勝ったチームにはさらに1ポイント。延長勝利が勝ち点2、延長敗者が勝ち点1。3試合を行い(1)勝ち点(2)総得点(3)当該チームの成績で順位を決める。